日時 | 2017年11月29日(水)29:00 ※日本時間 |
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試合会場 | グディソンパーク |
試合結果 | 4-0 エヴァートン勝利 |
今シーズン、エヴァートンの試合を取り上げるのは早くも3試合目だが、同じチームを続けて見ていると、そのチームの色々な事情、戦い方の変遷、という物が見えてくるので面白い。以前は限られた試合しか放送されていなかったので、放送されたチームの試合を見るしかなかったが、今はプレミアリーグであればどの試合でも、好きなタイミングでネットで見られるようになったので、フットボールフリークにとっては良い時代になったなと。
この試合のエヴァートンは、ウェイン・ルーニーのハットトリックを含む4得点でウェストハムに快勝。以前から触れている、ルーニーとシグルズソンの共存、という課題について進展が見られたほか、現在の日本代表との比較、という観点でも興味深い戦い方をしていた。
20 アイェウ |
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26 マスアク |
10 ランシーニ |
7 アルナウトビッチ |
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14 オビアング |
8 クヤテ |
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3 クレスウェル |
21 オグボンナ |
2 リード |
5 サバレタ |
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25 ハート |
エヴァートンの戦い方には後から触れるとして、まずはウェストハムのフォーメーションから。
この試合のウェストハムは、アンドレ・アイェウを1トップ、マヌエル・ランシーニをトップ下に置く4-2-3-1。チーム内で最も得点を挙げているFWハビエル・エルナンデスは代表戦での怪我で離脱中である。
近年、プレミアリーグでは監督交代のサイクルが加速度的に速くなっており、今シーズンも既にレスター、クリスタルパレス、ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン、そしてこの試合の当事者であるエヴァートンとウェストハムが監督を交代させている。ウェストハムは昨シーズンから続く成績不振からスラベン・ビリッチ監督を解任し、新たにデイビッド・モイーズ監督を招聘。この試合は監督交代後3試合目のリーグ戦となる。
29 ルーウィン |
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18 シグルズソン |
12 レノン |
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10 ルーニー |
26 デイビス |
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17 ゲイェ |
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15 マルティナ |
5 ウィリアムズ |
30 ホルゲイト |
43 ケニー |
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1 ピックフォード |
一方のエヴァートンだが、この試合はキャルバート・ルーウィンの1トップ、左ウィングにシグルズソン、右ウィングにレノン、IH(インサイドハーフ)にルーニーとデイビスを置く4-1-2-3でスタートした。
これまでの記事で触れてきたとおり、今シーズンのエヴァートンは2つの問題を抱えている。一つはルーニーとシグルズソン、いずれもトップ下が本職の2人を共存させることが出来ていない。もう一つは、1トップで起点となれるような選手がいない。
しかしこの試合では、ルーニーがIH、シグルズソンが左ウィング、という形でスタートして、この形は(不調のウェストハムが相手ということは差し引く必要があるが)これまで2人を同時起用した形の中では一番機能していた。
シグルズソンは左ウィングだが、4-1-2-3の場合はトップ下がいないので、ボールを持った時には中に入ってプレーできる。この試合の1点目は、トップ下の位置でボールを受けたシグルズソンが、DFラインの裏に走ったキャルバート・ルーウィンにスルーパスを送り、ルーウィンがウェストハムのGKハートに倒されて得たPKからだった。
そして、シグルズソンをピッチ上に置いておけるということは、彼の精確なプレースキックを試合の中のセットプレーで使える、ということであり、この試合の4点目は、シグルズソンのCKからだった。エヴァートンのCBウィリアムズが自身のマンマークに付いた選手と共に、ニア側のストーンに入った相手選手のところに走って行ってわざと1対2の状況を作り、マークを曖昧にさせてヘディングでゴール。ストーンの選手の手前にドンピシャでボールを届けたシグルズソンのキックの精度が光った。
また、以前のレスターとの試合では、FWのルーウィンが相手のDFに潰されて起点になれない、潰されてしまう、というシーンが目立ったのだが、この試合では、綺麗なポストプレーこそ無かったものの、相手DFより先にボールに触って簡単に奪われない、空中戦でもしっかり競ってボールを味方に拾わせる、というようなプレーは出来ていた。この試合の3点目は、ルーニーがセンターライン手前から放った超ロングシュートによるスーパーゴールだったが、このゴールが生まれたのは、ルーウィンが後ろから来たボールをウェストハムDFライン裏のスペースに落とし、そのまま自身も反転して裏を取る、というプレーをしたから。このボールをウェストハムのGKハートが飛び出してクリア、これをルーニーが拾って、ハートが飛び出した無人のゴールに長距離シュートを叩き込んだ。
そして、この試合のエヴァートンでもう一つ目を引いたのは、得点を奪う前と奪った後の戦い方の変化だった。
上述の通り、エヴァートンはこの試合、4-1-2-3でスタートし、先制点を奪うまでは、ルーニーとデイビスの両IHがウェストハムの両ボランチをマンマーク気味に見る形で守備を行っていた。しかし、先制点を奪うと、フォーメーションはキャルバート・ルーウィンとデイビスの2トップ、ルーニーとゲイェの2ボランチ、という形に変化。同時に守備方法も、ボランチが前に出ずスペースを埋めるゾーンディフェンスに変わった。
29 ルーウィン |
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26 デイビス |
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18 シグルズソン |
10 ルーニー |
17 ゲイェ |
12 レノン |
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15 マルティナ |
5 ウィリアムズ |
30 ホルゲイト |
43 ケニー |
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1 ピックフォード |
やはり、得点を奪った後や、守備的に戦う時は、ゾーンで守る方が良い。体力が温存できるし、相手に動かされて陣形が崩れる、ということも起こりにくいので、カウンターに出て行きやすい。日本代表はベルギー相手に終始マンツーマンで戦い、最後は敗れたが、この試合のエヴァートンのように、マンツーマンの守備は時間帯や状況を限定して行い、それ以外の時間はゾーンで守る、という戦い方の方が望ましいのではないだろうか。
なお、快勝したエヴァートンだが、気になった部分も幾つかあった。
1つはDFラインで、まずCBウィリアムズと、周りとの連携が良くない。ウィリアムズは相手ボールに積極的にアプローチするタイプのDFなのだが、今はそれが悪い方に出ていて、GKピックフォードがキャッチできるボールを先にクリアしてしまったり、カバーが来ているのに無理に足を出してPKを与えてしまったり、というシーンがあった(PKはピックフォードがストップ)。ウィリアムズはこの試合でセットプレーからゴールを奪ったが、本職の守備の方では必ずしも良いパフォーマンスとは言えず、特にピックフォードとの連携の悪さは以前から出ているので、もう少し、GKに気持ち良く守らせる、という意識が必要なのかなと。
また、右SBのケニーは、レスター戦でグレイのシュートをクリアミスしてオウンゴールしてしまった選手だが、この試合でも相手クロスを跳ね返す対応に怪しさがあった。受動的なボール対応に問題がある気がする。正直、こうしたDFラインの不安要素が顕在化しなかったのは、不調のウェストハム相手だったから、という部分が大きかったと思う。
最後に、現在暫定監督が指揮を執っているエヴァートンは、サム・アラダイス監督の就任が確実視されていて、この試合ではアラダイス監督がスタンドで観戦する姿も映像で捉えられていた。アラダイス監督のサッカーをちゃんと見たことはないのだが、今のエヴァートンには、前任のクーマン監督が残した守備組織が残っていて、この試合でマンツーマンとゾーンを使い分けて守れたのも、そのおかげだと思う。そうした資産を次の監督が引き継げるのか、というところは気になった。
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