韓国よりも日本のほうが厳しい。2018FIFAワールドカップ ロシア大会 組み合わせ抽選会結果

2018FIFAワールドカップ ロシア大会の組み合わせ抽選会が、日本時間で12月1日24時5分から行われ、日本代表はポーランド、セネガル、コロンビアと同組となるグループHに組み入れられることとなった。
抽選会では最後まで「JAPAN」の名前が読み上げられることは無く、日本は最後に残った一国だった。抽選会の最後、抽選ボックスの中に残ったボールは日本と韓国の2つ。二者択一で取り出されたボールの中には韓国の名前があり、結果、韓国はグループF、日本はグループHとなった。
韓国が組み入れられたグループFはドイツ、メキシコ、スウェーデンが同居するグループ。優勝候補ドイツを避けられた、という意味で、ネットでは日本がグループHに入ったことを喜ぶ声が多く見られたが、個人的には、日本は韓国よりも厳しいグループに入ったと思っている。

そう考える最大の理由は、コロンビアとポーランドの上下関係が読めないからで、グループリーグ突破を目標に置く場合、寧ろ飛び抜けて強い国が一つあったほうが、勝ち点の計算はしやすい。以下、具体的にシミュレーションしてみる。

下記は1戦目から3戦目までのグループHの試合である。カッコの中はその試合の結果と、その試合結果時点での各チームの勝ち点である。
まず単純に、日本以外の試合結果は全てFIFAランキング通りの結果になると仮定すると、日本が初戦でコロンビアに負けてしまった場合、日本が2戦目と3戦目でセネガルとポーランドに勝っても、得失点差によっては敗退してしまう可能性がある。

1戦目
日本(負:0)×コロンビア(勝:3)
ポーランド(勝:3)×セネガル(負:0)

2戦目
日本(勝:3)×セネガル(負:0)
ポーランド(勝:6)×コロンビア(負:3)

3戦目
日本(勝:6)×ポーランド(負:6)
コロンビア(勝:6)×セネガル(負:0)

また、2戦目のポーランドとコロンビアが引き分けた場合、日本は最終戦でポーランドに勝利しなければ、必ず敗退してしまう。

1戦目
日本(負:0)×コロンビア(勝:3)
ポーランド(勝:3)×セネガル(負:0)

2戦目
日本(勝:3)×セネガル(負:0)
ポーランド(分:4)×コロンビア(分:4)

3戦目
日本(分:4)×ポーランド(分:5)
コロンビア(勝:7)×セネガル(負:0)

つまり、日本としては、前回大会で大敗したコロンビア相手に、初戦で必ず勝ち点1以上を取らなければならない。これはかなり厳しい条件である。仮に敗れてしまった場合は、コロンビアがポーランドにも勝ってくれる、つまりFIFAランキング以上にコロンビアが強い、ということを期待するしかなくなる。

一方で韓国の方は、グループ内ではドイツが飛び抜けているため、ドイツが3連勝する確率がかなり高い。そうなると下記のように、2分け1敗でも、3戦目のメキシコとスウェーデンの対戦が引き分けだった場合はグループリーグ突破の可能性が残る。

1戦目
韓国(分:1)×スウェーデン(分:1)
ドイツ(勝:3)×メキシコ(負:0)

2戦目
韓国(分:2)×メキシコ(分:1)
ドイツ(勝:6)×スウェーデン(負:1)

3戦目
韓国(負:2)×ドイツ(勝:9)
メキシコ(分:2)×スウェーデン(分:2)

更に、スウェーデンとメキシコ、どちらかに勝っておけば、3戦目でスウェーデンとメキシコが引き分ければ突破確定、どちらかが勝った場合も、得失点差でグループリーグを突破できる可能性が残る。スウェーデンに勝った場合、下記のようになる。

1戦目
韓国(勝:3)×スウェーデン(負:0)
ドイツ(勝:3)×メキシコ(負:0)

2戦目
韓国(分:4)×メキシコ(分:1)
ドイツ(勝:6)×スウェーデン(負:0)

3戦目
韓国(負:4)×ドイツ(勝:9)

メキシコ(分:2)×スウェーデン(分:1)→突破決定
メキシコ(負:1)×スウェーデン(勝:3)→突破決定
メキシコ(勝:4)×スウェーデン(負:0)→得失点差で順位が決まる

逆に、韓国は最終戦にドイツを残しているので、スウェーデンとメキシコ、どちらかに敗れるとグループリーグ突破は絶望的になる。
つまり、日本も韓国も、ワールドカップのセオリー通り、初戦に敗れた場合はかなりグループリーグ突破が厳しくなる、という点では変わらず、その相手がコロンビアなのか、スウェーデンなのか、というところが最大の違いである。
日本がコロンビアと戦った場合と、スウェーデンと戦った場合、どちらが勝ち点を得る可能性が高いかと言われれば、それは後者だと思うので、日本は韓国よりも厳しいグループに入った、と言える。
抽選会後、ハリルホジッチ監督は「これより厳しいグループに入る可能性もあったが、この結果が良かったのかどうか」というようなコメントをしていたが、確かにその通りだと思う。ハリルホジッチ監督としては、グループFに入りたかったのではないだろうか。

そういう意味で言うと、日本としては、ポーランドの実力の見極め、というところが重要になってくると思う。ポーランドは欧州予選をグループ首位で突破し、この記事時点でのFIFAランキングは7位だが、欧州の中堅国は実力の浮き沈みが大きく、大会時点ではFIFAランキング通りの実力ではない可能性もある。実際、2010南アフリカワールドカップの時のデンマークは、欧州予選ではクリスティアーノ・ロナウド擁するポルトガルを押さえてグループを首位突破したが、日本と当たった本大会では、バイオリズムが落ちていて、日本が勝利するという結果に終わった。
初戦の開催時間は現地時間でポーランドが15時、日本が18時、ということなので、ポーランドの試合の方が先にある。ポーランドの試合を見て、そしてコロンビアと戦ってみて、コロンビアの方がポーランドよりも強い、と感じられるのであれば、コロンビアには最小限の得失点差で敗れる、ということも選択肢に入れる必要がある。逆に、ポーランドの方が強い、もしくはコロンビアと同格である、と感じられるのであれば、初戦での勝ち点獲得はマスト要件になる。

(追記)本記事を投稿した後、日本対コロンビア戦の開催時間変更が決まった。その件については下記の関連記事を参照されたい。

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