2018年シーズンのJ1昇格プレーオフ、及びJ1とJ2の入替戦のレギュレーションについて

かねてから、2008年シーズンを最後に廃止されていたJ1とJ2の入替戦が、2018年シーズンから復活することがアナウンスされていたが、このたび、Jリーグから2018年シーズンのJ1昇格プレーオフ、及びJ1とJ2の入替戦のレギュレーションが発表された。
[Jリーグ]2018J1参入プレーオフ 大会方式および試合方式について
これにより、J2の3位から6位のチームは、J1昇格プレーオフを勝ち抜いた上で、J1の16位チームに勝利しなければJ1に昇格できなくなった(引き分けの場合はJ1チームが残留)。

正直、このレギュレーションはかなり不可解である。個人的には、入替戦の復活自体には賛成という立場でも、反対という立場でもなく、良い面と悪い面がある、という認識だった。
良い面は、J1の16位とJ2のプレーオフを勝ち抜いたチーム、どちらが翌年のJ1に相応しいのかを、直接対決という一番分かりやすい形で決めることが出来る、という点である。
2009年から2016年の8年間、J2で3位またはプレーオフでJ1に昇格してきたチームは100%、翌年にJ2に降格している。その反面、J1で16位になって降格したチームは翌年高確率で昇格している。今シーズンは、プレーオフで昇格してきたセレッソが上位進出したことで、J2の3位以下で昇格したチームが必ず降格する、というジンクスは破られたが、統計的に見れば、J2の3位よりもJ1の16位のチームの方が強い、という疑念は拭い去ることは出来ず、であれば直接対決させて翌年のJ1に参加するチームを決める、という方針は、公平ではある。

ただ一方で、プレーオフを勝ち抜いても昇格できない可能性がある、という点は、昇格プレーオフの価値を下げることになる。また、J1に新たに加わるチームが2チームしかなくなる、逆にJ2に降格するチームが2チームしかなくなる、ということは、意外性のあるチームがJ1を戦う、逆にJ2を戦う、ということもなくなるわけで、エンタメ性、という観点から見ればマイナスである。

したがって、Jリーグが入替戦の復活を決めた、ということは、エンタメの部分よりも公平性の部分を重視した、という風に捉えていたのだが、上述のレギュレーションの中の、J1とJ2のチームの対戦で引き分けとなった場合はJ1チームが残留、というルールは、どう考えても公平性を欠いている。どちらが強いか分からないから戦って決めましょう、という部分が、引き分け=J1チームの勝利、ということになってしまうと意味が無い(逆に言うと引き分け=J2チームの勝利でも意味が無い)。雌雄を決するからこその入替戦復活だと思っていたので、これだと公平性は勿論、エンタメという観点から見ても拍子抜けである。
確かにJ2チーム同士の対戦では、引き分けの場合はリーグ戦上位チームが勝ち抜け、というルールにこれまでもなっていたが、それはあくまでも、リーグ戦の結果を尊重するからであり、それをJ1とJ2の対戦にまで持ち込んでしまうと、J2チームから見ればリーグ戦を3位で終えても、6位で終えても、最後は同じ、リーグ戦の結果は尊重されない、ということになってしまう。

繰り返すが、個人的には入替戦の開催自体には賛成でも反対でもない。ただ、今回のレギュレーション変更は公平性という観点から見ても、エンタメ性という観点から見ても、そして当事者としてその試合を見るサポーターの観点から見ても、第三者としてその試合を見る観客という立場から見ても、メリットが少ないように感じる。公平性を期するのであれば、シンプルに、J1とJ2のチームの対戦では雌雄を決する、つまり同点となった場合は延長戦を行う、それで決まらなかった場合は(それ以外の大多数の大会と同じように)PK戦で勝敗を決める、ということで良いのではないだろうか。

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