日時 | 2017年11月4日(土)13:09 |
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試合会場 | 埼玉スタジアム2002 |
試合結果 | 2-0 セレッソ大阪 勝利 |
今シーズンのリーグカップ決勝は、セレッソ大阪と川崎フロンターレの対決。お互い、三大タイトル(J1リーグ、リーグカップ、天皇杯)の獲得経験は無し。つまり、どちらのチームが勝っても、初めてのメジャータイトル獲得となる。
また、セレッソの方は天皇杯での準優勝が3回、Jリーグ最終節で優勝を逃した経験が2回あり、対する川崎の方も、リーグカップの準優勝3回、天皇杯準優勝が1回、そしてリーグ戦の2位が3回と、いずれも、あと一歩でタイトルを逃し続けてきたチーム同士である。
今度こそ。
これまで見上げ続けてきた頂上に、自分たちが駆け上がる。そんな気持ちを持ったチーム同士の対戦となった。
8 柿谷 |
9 杉本 |
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46 清武 |
16 水沼 |
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6 ソウザ |
10 山口 |
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14 丸橋 |
15 木本 |
22 ヨニッチ |
2 松田 |
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21 ジンヒョン |
この試合のセレッソのフォーメーションは柿谷、杉本を2トップに置く4-4-2。ピッチ上のメンバーにはリーグ戦の主力が名を連ねた。
セレッソはこれまで、いわゆる「ルヴァン組」と呼ばれるリーグ戦の控え選手を中心に、この大会を戦ってきた。そして、準決勝のガンバ大阪戦では、1stレグをルヴァン組中心のメンバーで戦い、2ndレグを、代表戦に召集された杉本、山口、ジンヒョンを除いたリーグ戦の主力メンバーで戦う、というターンオーバーを実施。よって、この試合ではこれまで通りルヴァン組中心で臨むのか、リーグ戦の主力組で臨むのか、それとも、両者を融合させた形で臨むのか、その点が注目されていたわけだが、ユンジョンファン監督は、完全な主力組でこの試合に臨むことを選択した。
試合後、ユンジョンファン監督のコメント
リーグ戦のメンバーとカップ戦のメンバーを分けて戦っていましたけど、リーグ戦で思わしくなかった時、ルヴァンカップに出場していた選手たちの走る姿、そして戦う姿勢が、リーグ戦に出ている選手たちにも大きな影響を及ぼしたと思います。(中略)実は、今日の試合のメンバーもすごく悩みましたけど、タイトルを獲るためには何かを犠牲にしないと獲れないと思いましたので、こういうメンバー構成になりました。
11 小林 |
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13 三好 |
14 中村 |
41 家長 |
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21 ネット |
10 大島 |
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7 車屋 |
23 エドゥアルド |
5 谷口 |
18 エウシーニョ |
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1 ソンリョン |
一方の川崎は、小林悠を1トップ、中村憲剛をトップ下に置く4-2-3-1でスタート。川崎のほうは、コンディションに不安のある主力選手が何名かおり、大島、ソンリョン、阿部の3名は怪我から復帰したばかり。前者2名は先発となったが、阿部はベンチからのスタートとなった。
試合は、序盤から唐突に動いた。
川崎陣内、セレッソからみて左サイドから、丸橋が入れたスローインのボールを、柿谷がヘディングで擦らしてゴール前の杉本へ。杉本には川崎のCBエドゥアルドが付いていて、難なくクリアできるボールだったのだが、なんとボールを空振りしてしまい、そのまま杉本とGKチョンソンリョンの1対1に。杉本が右足インサイド、巻くようなシュートでゴール右上に冷静に沈め、セレッソが先制。試合開始から僅か47秒の出来事だった。
エドゥアルドが何故、このようなミスをしてしまったのかはちょっと分からないが、エドゥアルドが空振りしてしまった時、川崎のDFラインの立ち位置は、右SBエウシーニョが川崎から見て右端のタッチライン付近、CBの谷口とエドゥアルドがペナルティエリアの右角あたりにいて、それに対して左SBの車屋は少し離れた位置、ペナルティアーク上の少し左寄りぐらいに立っていたので、川崎から見て右サイドからのスローインで始まったプレーだったことを考えると、車屋はもう少し右、ペナルティアーク中央ぐらいまでは絞っておくべきだったのではないだろうか。もし、エドゥアルドがミスをしていなくても、杉本が凄く良いトラップ、良いターンをして、エドゥアルドと入れ替わっていたら同じ状況が起こっていたわけで、その時にちゃんとエドゥアルドのカバーに入れるポジションを車屋が取っていれば、エドゥアルドのミスにも対応できたと思う。
いずれにせよ、このカードは試合前から川崎がボールを支配して、セレッソがそれにカウンターで対抗する、という展開が予想されており、セレッソが早い時間に先制したことで、まさにその展開となった。
川崎の攻撃、そしてそれに対するセレッソの守備、というものを先に整理しておくと、この試合では川崎のボランチの大島とネットに対する、セレッソの2トップ、柿谷と杉本の守備が鍵を握っていた。
川崎は攻撃になると、CBが広がり、その間にボランチの一枚が下りて、3バック化してセレッソの2トップに対して数的優位を確保すると供に、ボランチが縦関係になる。狙いとしては、セレッソの2トップの裏、ボランチの前のスペースに、ネット、大島のいずれかをフリーで送り込み、セレッソのボランチをバイタルエリアからおびき出す形を狙っている。最終的には、中村憲剛、もしくは小林にバイタルで決定的な仕事をさせたいので、そこから逆算して、相手2トップ、相手ボランチ、と言う順番で丁寧に剥がしていく、ということである。
もちろん、セレッソのほうも川崎の狙いは分かっているので、まず、柿谷と杉本が3バック化した川崎の最終ラインに対して、パスコースを限定するポジションを取る。ただし、川崎の最終ラインにいる3枚+縦関係になったボランチの前1枚に対して、2トップで守備をする以上、前のボランチへのパスを100%通させない、ということは無理なので、通ってしまった時には2トップの内の一枚がトップ下の位置まで降りてプレスバックし、ボランチの一枚が前に出て挟み込む。そして、ボランチの1枚が出てしまってもバイタルにスペースが出来ないよう、中盤、そして最終ラインは左右をコンパクトにする。
一見すると、柿谷と杉本は守備時に殆ど走っていないので、余り守備をしていない、と言う風に見えてしまうのだが、彼らがそうしていたのは、2トップが前に食いつき過ぎるとセレッソのボランチと2トップの間が離れてしまうからであり、そのスペースでネットや大島が完全にフリーになってしまう、ということが起こると最悪だからで、それを避けるため、2人は注意深く守備を行っていた。
セレッソが中央を締めているので、川崎のほうは、サイドを起点に攻撃を組み立てていく。家長、三好の両ウィングにはスピードとドリブルでの突破力があるので、セレッソのSH、SBを独力で引き剥がす、もしくはゴールライン際までえぐり切ってマイナスのラストパスを送る、更には、左サイドの三好が右サイドまで流れてきて家長からのパスを受ける、というような、両ウィングの個の力を活かした攻撃が何度も見られた。
特に、前半はセレッソから見て左サイド、清武と丸橋のサイドを、家長とエウシーニョが執拗に攻撃していて、明らかに片方サイドに攻撃が集中していたので、この点ついてはセレッソの攻撃マインドの源泉である清武のポジションを下げたい、守備でエネルギーを使わせたい、と言う狙いがあったのかもしれない。
試合後、清武弘嗣のコメント
先制が早かったので、試合はどうなるかわからなかったです。明らかに相手は(自分たちの)左サイドを狙ってきている感じはありました。僕のサイドを押し込むことを狙いにしていたと思う。なので、割り切って守備に専念して、あとはカウンターを狙うことを意識しました。
ただ、セレッソとしては中央を締めている以上、サイドから侵入を許してしまうのはある程度仕方ない、という割り切りもあったと思うので、前半で一番の危機だったのは、上記のようなサイドを攻略されたシーンではなく、前半31分のシーンだったと思う。
このシーンでは、杉本と柿谷のプレスをネットと大島がワンツーで躱してネットがセレッソの2トップとボランチの間のスペースに抜け出した。ネットがフリーになったため、ソウザがバイタルから出て対応、この瞬間に、ネットがバイタルの小林にクサビのパス、これを小林がエウシーニョにはたき、エウシーニョがグラウンダーのクロスを送り込んだ。クロスに対しては最初にクサビのパスを入れたネット、ポストに入った小林、そして逆サイド(川崎から見て左サイド)から三好も走りこんでいて、結果的にクロスは誰にも合わずにキム・ジンヒョンがキャッチしたが、2トップ、ボランチと丁寧に剥がしていったこの時の形が、川崎が本来やりたかった形、そしてセレッソとしては最も警戒していた形だったと思う。
後半に入ると、川崎の鬼木監督は左ウィングの三好に代えて長谷川竜也を投入。長谷川は三好に比べて、更にドリブル力が高い選手なので、前半何度もあった、サイドからのドリブルの仕掛けをより増やして行こう、という狙いだったと考えられる。
また、後半は(左に新しい選手を投入したということもあると思うが)前半のような右サイド偏重の攻撃では無くなり、左右、両ワイドからの仕掛けが見られるようになった。
しかし、サイドのタレントを代え、右サイドからだけでなく左サイドからも、という変化を加えてもなお、川崎はセレッソのブロックを攻略することが出来ない。その理由の一つ目は勿論、セレッソの両ワイド、左サイドでは清武と丸橋、右サイドでは水沼と松田が、必死に守備を行っていたからなのだが、もう一つの理由としては、川崎のサイドの選手同士、右ウィングの家長から右SBのエウシーニョ、左ウィングの長谷川から左SBの車屋、というボール交換が殆どなかった、という点が挙げられる。
これは川崎の攻撃が中央からの崩しを基本に設計されているからかもしれないが、ウィングの選手がボールを持った時に、その外側をSBが回り、そこにパスが出る、というサイド攻撃のオーソドックスな形が殆ど見られない。代わりに、ウィングの選手にトップ下の中村憲剛が寄ってきて、そこでワンツー、という形が多いのだが、そうなると中央のターゲットが小林しかいなくなってしまう。
また、後半は左ウィングが左利きの三好から右利きの長谷川に代わり、左ウィングが右利きの長谷川、右ウィングが左利きの家長、という形になったので、ウィングの選手が利き足でボールを持って中に入って行く、その外側をSBの選手が回る、そこにボールが出る、という形がより重要になるはずだったのだが、その形が殆どないため、セレッソが中を固めているのにウィングの選手が中に入って行ってスペースが無くなったり、ウィングの選手が外から逆足でクロスを上げる、という形が多くなり、なかなか有効な攻撃にならなかった。
状況が変わらないため、後半29分、川崎はエウシーニョを下げてFW知念慶を投入。エウシーニョの抜けた右SBに長谷川を、長谷川のいた左ウィングに中村憲剛を回して、4-4-2の形に変更した。
11 小林 |
20 知念 |
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14 中村 |
41 家長 |
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21 ネット |
10 大島 |
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7 車屋 |
23 エドゥアルド |
5 谷口 |
16 長谷川 |
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1 ソンリョン |
この交替については、後半の途中から、川崎の攻撃は殆どクロスで終わっていたので、それが良いか悪いかはこの際置いておいて、とにかくターゲットを増やそう、ということだったのだと思う。ただ、サイドの関係性が改善されていないので(試合中に何もかも解決することは出来ないので、それは仕方のないことなのだが)、中央のターゲットを増やしても、そこになかなか有効なクロスが入らない。
後半35分、川崎はネットを下げ、怪我明けの阿部浩之を投入。中村と大島の2ボランチ、その前に阿部と家長、という形に。
11 小林 |
20 知念 |
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8 阿部 |
41 家長 |
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10 大島 |
14 中村 |
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7 車屋 |
23 エドゥアルド |
5 谷口 |
16 長谷川 |
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1 ソンリョン |
阿部にはミドルシュートがあるので、セレッソのブロックの外から得点を狙うことが出来る、そして、それを警戒してセレッソが前に出てくれば、その裏を狙うことが出来る、という采配だったと思う。
ただ、入ってきた阿部は身体が重そうで、後半41分に放ったミドルシュートも遥か枠外だったので、鬼木監督が何故先発で使わなかったのかが分かるコンディションだった。
逆に、このまま試合をクローズしたいセレッソのユンジョンファン監督は、後半38分に柿谷を下げて山村和也を投入。山村を右CBに入れて3バック(5バック)とし、中盤は山口を中央に、左にソウザ、右に水沼、2トップを杉本と清武、という並びに。
そして、後半43分には足を痛めた木本に代えて山下を投入した。
9 杉本 |
46 清武 |
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6 ソウザ |
16 水沼 |
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14 丸橋 |
10 山口 |
2 松田 |
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23 山下 |
22 ヨニッチ |
24 山村 |
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21 ジンヒョン |
これまでのリーグ戦のように、5-4-1の形にするのではなく、2トップとしたのは、最後まで、川崎のボランチからの組み立てを警戒していた、そこを阻害するためにはトップは1枚ではなく2枚必要だった、ということと、奪った後にはカウンターに出て行けるように、ということと、その2つだったと思う。
そして川崎の方も、木本の負傷から山下の投入までの試合が止まっていた時間に鬼木監督が指示を出し、CBのエドゥアルドを前線に上げたパワープレーに移行。
しかし、そうしたスタイルは本来の川崎のスタイルでは無い、ということと、セレッソの最終ライン中央を固める山村、ヨニッチ、山下の3人は、Jリーグでも屈指の空中戦の強さを持っているので、なかなかパワープレーからシュートで終わることが出来ず、逆にロングボールが増えて陣形が間延びしたことにより、セレッソのカウンターを受けるシーンが多くなっていく。
そして後半47分。
セレッソ陣内ペナルティエリア手前で川崎のパワープレーのこぼれ球を回収した杉本が、ボールを右SBの松田に落とすと、松田が前残りしていた清武に向けてロングフィード。同時にソウザと水沼が前線に駆け上がり、清武が松田からのロングボールを右足でピタリとトラップした瞬間には、川崎ゴール前の谷口と中村憲剛に対して、セレッソは右から清武、水沼、ソウザの並びの3対2という状況に。
セレッソは清武から水沼のパス交換で谷口と憲剛をボールサイドに引き寄せ、最後は逆サイド、フリーになったソウザへ。川崎はGKソンリョンが飛び出したが、ソウザは冷静に右足のシュートフェイントでソンリョンを抜き去り、左足でシュート。谷口が必死で伸ばした足の先をすり抜け、ボールがゴールネットを揺らした。セレッソの初戴冠を決定づけるゴールが生まれた瞬間だった。
得点後、セレッソは足を痛めた丸橋に代わって田中裕介を投入し、最後は川崎陣内コーナーフラッグ付近でボールをキープしたところで試合終了のホイッスル。第25回ルヴァンカップ決勝、初タイトルを掛けたチーム同士の戦いは、セレッソ大阪の勝利で幕を閉じた。
サッカーの勝敗は、その日のピッチ上だけで決まるものではない、とよく言うが、この試合ほどそれを感じた試合は無かった。
セレッソがこの大会に起用した選手は、GK3名、DF11名、MF14名、FW5名、総勢33名。ベンチ入りしたが出番のなかったメンバーまで含めると36名。中には既にチームを離れた選手もおり、そうした選手たち、そして、かつては選手として優勝を逃す悔しさを味わったユン・ジョンファン監督、森島寛晃チーム統括部長、彼らの思いを背負ってピッチに立ったセレッソの選手たちのメンタルは、川崎を上回っていたと思う。
また、そうした積極的なターンオーバーが、フィジカル面でも作用し、この試合のセレッソの選手でコンディションに不安のある選手はゼロだった。特に、シーズン序盤から何度も怪我を繰り返してきた清武は、その都度ユン監督が、怪我を悪化させないように、大事をとりながら回復を見守ってきた選手だが、この試合では両チーム通じて唯一、12km超えの走行距離を記録。彼の復調が、試合を決定づける2点目にもつながった。
逆に川崎の方は、コンディション面から本来のポテンシャルを発揮できていない選手が何名かいた。怪我明けの大島は、現状できる最大限のプレーを見せていたとは思うが、セレッソの2トップの守備を剥がすには至らず、川崎の本来の形を作り出すことが出来なかった。また、37歳の中村憲剛は、試合終盤にはプレー精度が落ちて、クロスが思ったところに飛ばなかったり、グラウンダーで落とすはずのボールが浮いてしまったり、というシーンが散見されたし、家長も後半にはドリブルで仕掛けるプレーが減り、怖さが半減した。川崎はこの試合の2つ前、天皇杯の柏レイソル戦で、主力選手を何人か起用しており、家長、エドゥアルド、車屋の3名は11日間で3連戦。セレッソの方は天皇杯は完全にターンオーバーしたため、3連戦の選手はおらず、そこも両チームの差になっていたと思う。
更にこの試合、交代枠で起用した3選手のうち、長谷川と阿部の2人も明らかにプレーの内容が悪く、そこが交代采配が有効に機能しなかった一番の原因だった。
最後には本来のスタイルではないパワープレーまで行い、何とか打開しようと試みたが、セレッソのカウンターの前に力尽きた。
試合前のウォーミングアップが始まる時、セレッソの選手たちは大きな円陣を組んでいた。その円陣には、試合開始のピッチに立つ選手、ベンチに入る選手は勿論、スーツを着たベンチ外の選手、監督、コーチ、その他のスタッフ、全てが加わっていた。セレッソはこの試合に、下部組織のスタッフを除く全ての従業員を派遣。文字通り、クラブの総力を賭けて勝ち取ったタイトルだった。
試合後、杉本健勇のコメント
いろんな思いが込み上げてきて。なんていうんですかね、勝ってから話すと言っていたんですけど、ここまでのルヴァンカップ、僕は今日の試合しか出ていないですし、ましてやベンチにも1回も入っていなかった。ここまで連れてきてくれたメンバーに対して、僕だけ決勝に出たので申し訳ないというか、しっかり責任を持って戦わないといけないという思いがありました。負けたらどんな顔をすればいいのか、顔を見せられへんなと。そういう不安もありました。(今日、試合に出られなかった選手たちは)相当、悔しかったと思う。だから、俺らのほうが(川崎Fよりも)絶対に気持ちは強いと思っていた。今日、必ず勝って、そういう気持ちをルヴァンカップを戦ってきたメンバーに報告したかったです。