カウンターの質。国際親善試合 日本代表 VS ブラジル代表

日時 2017年11月10日(金)21:00 ※日本時間
試合会場 スタッド・ピエール=モーロワ
試合結果 1-3 ブラジル代表 勝利

録画を見直してから詳細なレビューを書こうと思っていたのだが、なんと録画が消えてしまっていたので、方針を変更して、ざっくりとした感想を。

日本代表フォーメーション
15
大迫
8
原口
2
井手口
11
久保
16
山口
17
長谷部
5
長友
20
槙野
22
吉田
19
酒井
1
川島
ブラジル代表フォーメーション
9
ジェズス
10
ネイマール
19
ウィリアン
17
フェルナンジーニョ
18
ジュリアーノ
5
カゼミーロ
12
マルセロ
4
ジェメルソン
14
チアゴシウバ
22
ダニーロ
1
アリソン

試合の流れとしては、前半、ブラジルのCKで吉田が相手選手を抱え込んで倒してしまい、これが今話題のビデオ判定で後からPKと診断されて、ネイマールがこのPKを決めてブラジルが先制、その後、井手口のクリアミスをマルセロが右足で直接ミドルを叩き込んでブラジルが2点目、そして、前半36分にカウンターからジェズスが決めてブラジルが3点目。日本は後半にCKから槙野がヘディングで1点を返したが、1-3で敗北、という内容だった。

試合を見ていて一番感じた両チームの差は、カウンターの時のプレーの質だった。
ブラジルはカウンター発動時の守から攻への切り替えのスピードは凄く速いのだが、その後のプレーというのは全力疾走というわけではなく、敢えてスペースに入るスピードを遅らせながら、ボールホルダーが日本のマークに捕まって、詰まってしまったタイミングで追い越してくる。結果、カウンターのスピードが落ちない。日本から見ると、止めた、と思ったタイミングで新しい選手が湧き出てくるので、なかなか相手のプレーの選択肢を奪えない。
一方で日本の方は、カウンターからクロスでフィニッシュ、という時に、中央がみんな前に入ってしまって、ニアで合わないとファーでも合わない、という位置関係になっていたり、逆に、ファーサイドが遅れて入ってきているのに、ボールホルダーの方がそこを見れていなかったり、要は、攻撃のギャップの作り方の上手さ、巧みさで、ブラジルとの間には大きな差があったと思う。

また、セットプレーの守備に関しては、この試合では上述の通り吉田のファウルが後から認められてPK、というシーンがあったのだが、マンマークで守るとどうしても相手を抱え込んでしまうようなシーンは出てくるので、本番でもビデオ判定が採用されるようなのであれば、ブラジルがそうしていたように、ゾーンディフェンスへの切り替えを検討しても良いと思う。最も、ブラジルはゾーンで守って日本のCKから失点しているので、メリットの方が大きい、と判断できればだが。それについては、今後の親善試合でチェックするしかない。

あと、この試合の審判は結構ファウルを厳格に取る人で、それによってブラジルに2回のPKが与えられたわけだが(2回目は川島がストップ)、それを受けて、原口が相手PA内でファウルを貰いに行って逆にダイブを取られた、というシーンがあった。これについては賛否両論あると思うが、個人的にはどんどんやったらいいと思う。ブラジルの方も、例えばネイマールが接触プレーでわざと過剰に痛がる素振りを見せていたりしたので、少なくとも代表戦においては、日本の方だけがそういうプレーを制限する必要はないと思う。ただ、全く触れていないのに倒れてしまう、というのはやっぱりダメで、まずボールを相手から遠くに置く、それでも強引に奪いに来た場合は貰いに行く、という順番である必要がある。

最後に、この試合の結果を受けて、ブラジルは最後流していた、1点は返したがそこに意味は無い、というような言説を見かけるが、それこそ意味が無い言説だと思う。いろいろな人材、戦術を試しながら戦っていたのは日本も同じで、その結果、2点差で敗れた、という事実を、必要以上に過大評価する必要も、過小評価する必要もない。現実的に考えて、日本がワールドカップでこのレベルの相手と戦うのは、グループリーグで第一シードのチームと戦う、という時であり、より少ない得失点差で敗れる、ということにはちゃんと意味がある。ブラジルにとっても、準備してきたゾーンでの守備で失点したわけで、看過できるものでもない。また、同じ意味で、川島がPKを1本ストップした、という事実も評価されるべきだと思う。

階段を一気に2つも3つも上がることは出来ないので、まずは、どうやったらこの試合を1点差での敗北に出来たのか、というところからになると思う。先制されたシーンでの吉田のミス、2失点目の井手口のミス、というところは勿論なのだが、そうした「言うまでもない」ところとは別に、個人的には上述のカウンターの質のところが気になった。