原点回帰。J1第23節 ジュビロ磐田 VS セレッソ大阪

日時 2017年8月19日(土)18:33
試合会場 ヤマハスタジアム
試合結果 1-1 引き分け

セレッソは今シーズンの開幕戦の相手である磐田とアウェーでの再戦。
前半の37分に水沼のクロスから、ニアサイドに走りこんだ杉本がボレーでファーポスト側に運ぶというスーパーなシュートで先制し、以降は磐田に押し込まれながらも試合終盤まで耐えていたのだが、後半41分にショートコーナーから川又に同点ゴールを献上。惜しくも勝ち点3獲得とはならなかった。

セレッソ大阪フォーメーション
杉本 リカルド
柿谷 水沼
ソウザ 山口
丸橋 山下 ヨニッチ 松田
キムジンヒョン

セレッソは大阪ダービー以降、怪我で戦列を離れていたCBの山下が先発復帰。また前節、前々節は田中が務めた右SBの位置には、今節は松田が入った。また、前線については前節スタメンだった山村が左膝内側側副靭帯損傷のため5週間の離脱。代わってリカルド・サントスが先発となった。

ジュビロ磐田フォーメーション
アダイウトン 川又
中村
宮崎 ムサエフ 川辺 櫻内
森下 大井 高橋
カミンスキー

対する磐田の方は、前回の対戦時には4バックだったのだが、現在は3バックが主体。前線は川又とアダイウトンの2トップに中村俊輔のトップ下、という構成だが、トップ下の中村はかなり広い範囲を動くので、それに合わせて周りの選手の立ち位置も少しずつ変わり、結果的に各選手のポジションは、やや流動的だった。

上述のように、試合は前半に杉本のゴールでセレッソが先制したのだが、試合全体としては磐田が押し込む時間が長く、それをセレッソは耐えて跳ね返す、という展開だった。
ただセレッソの方は、この日先発となったリカルドがかなり頑張っていて、これまでは余りボールが収まらない印象が強かったのだが、この試合では押し込まれる展開の中でも、引いてきて起点になるプレーでチームの押上げを助けていた。
また、相手ボールになった時に、セレッソは2トップとボランチの間のスペースを使われることが多いのだが、この試合では押し込まれた時にはリカルドが杉本と縦関係になって中盤まで下りることで、守備をかなり助けていた。シーズン前半では、そうしたプレーを山村がやっていて、それが失点が少なかった一つの要因だったと思うのだが、最近は、チームとしての約束ごとなのか、山村の得点への意識が強くなったためなのか、それとも怪我によって動きが少なくなったせいなのかは分からないが、その回数が減っていて、それが失点増加の遠因にもなっていたので、この試合でセレッソが流れの中で失点しなかった要因としては、リカルドの攻守の貢献という物が大きかったと思う。

ユンジョンファン監督としては、その形を続ける、という選択肢もあったと思うのだが、後半14分というかなり早い段階でリカルドを下げ、木本を投入して、3バック(5バック)に変更するという決断を下した。

セレッソ大阪フォーメーション(後半14分以降)
杉本
柿谷 水沼
丸橋 ソウザ 山口 松田
山下 ヨニッチ 木本
キムジンヒョン

恐らくこの変更は、試合前から決めていたのではないだろうか。試合終盤にはCBを3枚にして逃げ切り、というのが連勝していた時のセレッソの勝ちパターンだったのだが、ここ最近はフォーメーションを変えないまま逆転されてしまう、という形が続いていたので、もう一度本来のパターンに回帰する、ということ、そして、早い時間に守備固めの布陣変更を行うことで、選手たちに「絶対にこの1点を守り切るんだ」というメッセージを伝える意味合いもあったと思う。

残念ながら、結果論的に言えば、追いつかれてしまったことで采配は成功とはならなかったのだが、最後の失点はショートコーナーからで、この時のセレッソは磐田のショートコーナーに対してニアサイド側の選手が出て行くのが少し遅れたので、布陣の変更がもたらした失点ではなかったと思う。もう少し反応を速くしていれば防げたかもしれない失点だったが、中村俊輔はそういう相手の虚をつくプレー判断も抜群に上手い選手なので、そこは単純に、駆け引きに負けた、力が及ばなかったと捉えるしかない。

セレッソとしては、あと少し耐えれば勝利できていた試合を落としてしまったわけだが、原点に戻ることが出来た、という意味ではポジティブに捉えられる試合内容だったと思う。
そもそもシーズン開始時点のセレッソは、まず守備を固める、攻撃についてはセットプレーでも、カウンターでも、形はどうあれ1点取る、そしてリードしたら5バックにして、主導権は相手に渡してしまったとしても、とにかく守り切る、そういうサッカーでスタートしたので、そこにもう一度戻って来たということは、立ち戻れる場所がある、ということなので、そこは凄く大事なことだと思う。また、先発復帰した山下のプレーや、山村の代役となったリカルドのプレーも非常に良かったので、次節、鹿島とのシーズンを掛けた首位対決では、良い意味でハングリーな状態で試合に臨めるのではないだろうか。