市立吹田サッカースタジアムで行われる初めての大阪ダービーということで、今回はそのプレビューを書いてみようかと。
これまでもずっと、ガンバとセレッソの試合というのは、順位や置かれている状況に関わらず、大きな盛り上がりを見せてきたが、この週末の試合は、ガンバが勝ち点32で6位、セレッソが1試合消化が多い状態で勝ち点41、首位に立っている、という中での一戦。文字通りタイトルの行方を占う決戦になる。
スタメンとフォーメーション予想
杉本 | ||||||||
柿谷 | 山村 | 水沼 | ||||||
ソウザ | 山口 | |||||||
丸橋 | 山下 | ヨニッチ | 松田 | |||||
キムジンヒョン |
セレッソのフォーメーション、スターティングメンバーの予想は難しくない。怪我人が無い限り、間違いなく前節浦和戦のメンバー、フォーメーション、つまり4-2-3-1で臨んでくる。怪我で離脱中の清武が戻ってくるまで、これは変わらないと考えられる。
長沢 | ||||||||
アデミウソン | 倉田 | ファンウィジョ | ||||||
今野 | 井手口 | |||||||
藤春 | ファビオ | 三浦 | オジェソク | |||||
東口 |
一方ガンバの方は、ここまでスタメンがあまり固定されていないのと、怪我人の情報があることで、予想が少し難しい。
1トップについては、倉田と並んでチーム内得点王の長沢で間違いないと思う。また、夏のマーケットで獲得した韓国代表FWのファンウィジョもスタメンに名を連ねることになりそう。下記の記事では7/22の大宮との練習試合で長沢、アデミウソンと共にピッチに立った、とあるので、この3名+倉田のトップ下、という構成になるのかなと。
[新加入FWファン・ウィジョ、大阪ダービーで公式戦デビューへ]
ただし、倉田は腰痛との情報があるので、スタメンは回避、という判断になる可能性もある。そうなるとかなりの痛手だが、その場合はアデミウソンがトップ下、左がファンウィジョ、右が藤本淳吾、という形か、もしくは左が泉澤で右がファンウィジョ、という形になるのではないだろうか。
ボランチについては、今シーズンは2ボランチになったり、3ボランチになったりと不確定で、メンバーも、今野と遠藤、遠藤と井手口、倉田と井手口など、色々な組み合わせを試してきた。直近のリーグ戦では井手口と遠藤の2ボランチで臨んでいるが、その前の鹿島戦では今野と井手口の2ボランチとなっており、同じ上位対決、ということを考えると、鹿島戦の形になるのではないかと予想する。
DFラインについては、コンディションに問題が無ければ、左から藤春、ファビオ、三浦、オジェソクの並びになるはずだが、こちらは三浦に怪我の情報があり、彼が出られない場合は金正也がスタメンとなる可能性もある。
[29日大阪ダービー ガンバ三浦&倉田負傷…長谷川監督「様子見て」]
試合のキーポイント
この試合の鍵となる部分は、1つ目がセットプレー、2つ目がクロス、3つ目が運動量、ということになると思う。
ガンバ大阪 得点、失点パターン(2017/07/28現在)
引用元:http://www.football-lab.jp/g-os/
セレッソ大阪 得点、失点パターン(2017/07/28現在)
引用元:http://www.football-lab.jp/c-os/
上記を見ると、ガンバは失点の3分の1がセットプレーからの失点である。逆にセレッソの方はセットプレーからの得点が直接、間接合わせて12あり、これはJ1の全チームの中で最多である。直近のガンバの試合を見ていると、セットプレーのセカンドボールに対する対応が悪く、そこから失点するパターンが多い。この点については本ブログの過去の記事中でも既に触れた。
J1第18節 清水エスパルス VS ガンバ大阪
J1第14節 ジュビロ磐田 VS ガンバ大阪
また、ガンバの失点パターンの中で次に多いのはクロスからの失点で、逆にセレッソの方は、クロスからの得点が10。こちらも現時点でのJ1で、全チーム中最多である。
したがって、ガンバの方が中断期間中にセットプレーの守備、そしてクロスの対応をどこまで修正できているか、というのが一つのキーポイントになると思う。
次に運動量についてだが、今シーズンのガンバは、走れている試合では勝っている、そうでない試合では敗れるか引き分けている、という傾向が顕著である。これは、今シーズンのガンバがラインを高く保つサッカーをしており、そのラインを保つために前線から強度の高いプレスを行う必要がある、ということに由来していると考えられる。
平均 (リーグ順位) | 勝利時 | 引分時 | 敗戦時 |
176.7回(1) | 187.1回 | 171.2回 | 160.3回 |
平均 (リーグ順位) | 勝利時 | 引分時 | 敗戦時 |
167.4回(6) | 165.9回 | 170.8回 | 167.5回 |
よって、ガンバが勝利するためには運動量、という部分が求められるわけだが、ACLの戦いも終わり、中断期間を挟んだことにより休養を得ることも出来、更にはホームでの大阪ダービー、ということを考えると、この週末の試合でガンバの運動量が乏しい、ということは有り得ない。一方のセレッソも、ユンジョンファン監督は規律、フィジカル、そして攻守の切り替えの速さを求める監督であり、当然、切り替えの瞬間からガンバの高いラインの裏、というところは狙ってくるはず。この部分の攻防は、そのまま試合の結果を左右する重要なファクターになるはずである。
キープレーヤー
両チーム、2人ずつ挙げたい。
セレッソの方は水沼宏太と杉本健勇。既に書いたように、この試合ではセレッソのサイド攻撃からのクロス、というのがキーポイントになる。セレッソのスタメン選手の中で、一番クロッサーとしてのプレイ傾向が強いのが水沼。そしてターゲットとなるのは、前回のダービーで2ゴールを決めた杉本。この2人のホットラインは間違いなくガンバにとって脅威になるはずである。
ガンバの方は、倉田秋とファンウィジョ。倉田については言うまでもなく、現在のガンバのエースである。サイド、トップ下、ボランチ、どこでもできて、前にいる時はボールを引き出せる、後ろにいる時はボールを収められる、そして、自ら仕掛けることも出来る。彼のいる場所がガンバのストロングポイントになる、と言っても過言ではない。
もう一人のキープレーヤーのファンウィジョは、合流間もない中で長谷川監督がスタメンで使う、と断言していることからも、期待値の高さが窺える。過去のハイライトを見た限りでは、トッテナムのソンフンミンのようなタイプのプレーヤーで、スピードがあり、左右の足どちらも使うことが出来、どちらの足からも強烈で正確なシュートを放つことが出来る、というプレーヤーである。角度のないところからのシュートも得意としているので、サイド起用でも活きる。活躍シーンのハイライトであることを差し引いても、ポテンシャルは間違いなく高い選手である。ただ、今のガンバのスタイルを考えると、ダービーで求められるのは、攻撃のポテンシャルよりも、まずは守備のタスク、ということになると思う。高いラインを保つために、チーム全体で前からプレスを掛けていく、その連携の中にしっかりと入って行けるか。それが出来れば、シュートチャンス、という部分はおのずと付いてくると思われる。
素晴らしい熱戦を
4万人以上の観客を飲んだ満員のサッカー専用スタジアムで、タイトルをかけて大阪ダービーが行われる。筆者としては、そのこと自体が一つの勝利であるように感じられる。素晴らしい試合を期待したい。