清水は25周年を勝利で祝う。J1第18節 清水エスパルス VS ガンバ大阪

日時 2017年7月8日(土)18:03
試合会場 IAIスタジアム日本平
試合結果 2-0 清水エスパルス勝利

この試合は清水エスパルスにとって、「クラブ創設25周年記念マッチ」という記念すべき試合。対するガンバの方も、長谷川健太監督は清水出身であり、CBの三浦、MFの藤本、そしてFWの長沢も以前は清水に所属していたということで、両チームともモチベーションの上がる試合である。

清水エスパルス フォーメーション
長谷川 金子
デューク 枝村
竹内 六平
松原 二見 カヌ 鎌田
六反

清水は前節の試合で鄭大世が4枚目のイエローをもらい、今節は累積により出場停止。また、同じくレギュラーのFWであるチアゴ・アウベスも負傷離脱で主力となる2トップを欠き、この試合は長谷川悠と金子翔太の2トップでのスタートとなった。

ガンバ大阪 フォーメーション
呉屋
泉澤 倉田 藤本
遠藤 井手口
初瀬 ファビオ 三浦 オジェソク
東口

対するガンバの方は、ACLで未消化だったリーグ戦が水曜日にあり、この試合は前の試合から中2日という日程だったため、SBの藤春、MF今野、FWの長沢といった前節のスタメン選手はベンチスタートとなり、代わって、左SBには初瀬、FWには呉屋、ボランチには遠藤保仁が入った。

前半開始直後から、清水は高い位置からプレス。守備の開始地点はガンバ陣内、ハーフウェーラインを少し越えたあたりで、2トップが中央を締め、SHはガンバのSBに付いて、ボランチにボールが出たらFW、ボランチ、SHで囲い込んで、高い位置で奪ってショートカウンター、という形を狙っていた。
それに対してガンバは右SHの藤本が中に入ってきて受けたり、サイドの裏のスペースに蹴ったり、という形で回避しようとしていたのだが、いまいち上手くいかない。左の泉澤はどちらかというと足元でもらって仕掛けるタイプの選手なので、裏のスペースに走ったり、後ろからのボールを受けて起点になったり、というプレーはあまり得意ではない。
また、長沢がいる場合は、彼がトップの位置から中盤に下りてきてボールを受けて、はたいて、というプレーをしてくれるのだが、この日先発の呉屋は、そうした起点になるプレーに乏しかった。

清水の守備に対して、ガンバがなかなか最終ライン、中盤でボールをつなげられず、本来のボールを回すサッカーができない、という状況の中、前半29分、清水が先制。
失点はCKからで、ニアサイドでストーンに入っていた遠藤がボールに対してかぶってしまい、このボールをカヌがヘディングでファーサイドへ、それを松原が蹴りこんでゴール、という流れだった。松原に付いていたのは倉田で、マークを外してしまったのは、ボールが(遠藤もカヌも触れず)抜けてくる、と考えてボールのコースの方に反応してしまったからだと思うが、マンツーマンで守っている場合は、自分がマークについた選手に入るボールにのみ反応する方が上手くいくと思う。
また、そもそもCKを与えたのも、清水のセットプレーからセカンドボールを拾われてシュートを打たれ、それを東口が弾いてコーナーに逃れた、という流れだったので、磐田との対戦時もそうだったが、今のガンバはセットプレーの対応が悪いように思う。最初のボールまでは良いが、その次のプレーで人を放してしまう、というシーンが多い。前半31分にもほとんど同じようなシーンがあり、これは松原がオフサイドを取られてノーゴールの判定だったが、ここでもガンバは全く松原を見ていなかった。

先制点を奪われたことで、ガンバは少し布陣を変え、遠藤がトップ下に上がり、倉田がボランチへ。倉田がCBの近くまで下りてきてボールを運ぶようになったことで、少しボールの落ち着きどころが出来るようになった。

しかし、39分には清水がふたたびゴール。
失点のシーン、プレーの開始は清水陣内、相手GKのフリーキックからだったので、何のことは無いロングボールだったのだが、これを初瀬がヘディングミスし、CKになりそうになったので残したところ、相手に奪われてしまい、そこから中央に入れられたが、これは何とかカット、しかしカットした後の繋ぎのボールをもう一度奪い返されてしまい、そこからシュートを浴びて、これは東口が辛くもセーブしたが、そのこぼれ球も拾われ、クロスを上げられて、このクロスは跳ね返したものの、ライン上にふわっと上がった(CKになりそうだった)ボールが残りそうなのを見て慌てて東口が飛び出してしまい、しかし相手のヘディングに対してボールにさわれずに折り返されてしまい、最後はゴール前で井手口が鎌田に競り負けて、GKのいないゴールにボールを運ばれる、と言う顛末だった。
こうして文章に書くだけでも、幾つミスがあったのか、という体たらくで、そもそも最初の初瀬のヘディングミスが無ければ問題は起こらなかったし、ミスしたとしても、冷静にクリアしておけばそれで終わったシーンだった。その後も「ミスをリカバーしたら次のミスが起こる」という感じで、ここまで「自分たちのミスを責めるしかない」という失点だと、ある意味では切り替えやすかったのではないだろうか。

試合を0-2で折り返したガンバは後半、遠藤と初瀬を下げ、長沢と藤春を投入。藤春は初瀬に代わってそのまま左SBに、長沢は呉屋と共にトップに入って倉田がボランチに下り、4-4-2の形になった。

ガンバ大阪 フォーメーション(後半)
長沢 呉屋
泉澤 藤本
倉田 井手口
藤春 ファビオ 三浦 オジェソク
東口

フォーメーション変更により2トップになったことで、後半のガンバは中盤での組み立てがなくなった場合にシンプルに縦に蹴る、という選択肢が出来、長沢はそういうボールに対して起点になれるので、攻撃については改善が見られた。
また、組み立ての時には倉田が最終ラインまで下りる、井手口は相手のボランチの間または脇に入る、という形でボランチが縦関係になり、その時に両SHが絞る、または2トップのうちの1枚が下りてくることで、最終ラインでは相手の2トップに対してファビオ+三浦+倉田で3対2、中盤では相手の2ボランチに対して井手口+両SH(または2トップの片方)で3対2が出来る、ということで、前半に比べると最終ラインからの組み立てができるようになった。

中盤での組み立てが出来てくると両SHの攻撃力も活きてくる、そして2トップになっているのでターゲットも増えている、ということで、後半のガンバは前半と比べ、明らかに多くのチャンスを作ったのだが、呉屋、及び長沢がこれらのチャンスを決めきることは出来ず、試合は2-0、清水エスパルスの勝利で終了となった。

少し雑感を。
清水はデュークとカヌという長身選手がスタメンに入るようになってから、セットプレーが強くなってきている気がする。この日はガンバの守備にも問題があったので、より良く見えた、というのもあるかもしれないが、もしかすると、新しい武器になるのではないだろうか。

ガンバの方は、ボランチのところの最適解が中々見つからない。3ボランチにするのか、2ボランチにするのか、ということもそうだし、2ボランチにする場合、これまで通り遠藤と今野をベースに考えるのか、それとも遠藤と井手口なのか、井手口と今野なのか、もしくはこの試合の後半のように井手口と倉田なのか。シーズンのこれまではACLとの兼ね合いや、今野の怪我などもあり、良く言えばやりくりしながら臨機応変に、悪く言えばその場その場をしのぎながらやってきたが、そろそろベースとなる形を決めた方が良いのではないかと思う。

この日先発となった呉屋については、あと少しという感じだった。この試合では幾つか決定的なチャンスを外しており、敗戦の一因とも言えるプレーだったが、逆に言えば、チャンスには顔を出せている、後は決めるだけ、と言うことも出来る。FWは8割9割出来ていても、最後の一つのプレーが悪くてゴールが決まらなければ評価されない、というポジションなので、現状の評価が0点でも、殻を破ることが出来ればいきなりそれが100点に変わる可能性もある。ガンバは既に城南FCからFWファンウィジョが加入することが決まっているので、生き残るためには数字が必要になる。