大宮のサッカーに足りないピース。J1第12節 大宮アルディージャ VS セレッソ大阪

日時 2017年5月20日(土)16:00
試合会場 NACK5スタジアム大宮
試合結果 0-3 セレッソ大阪勝利

気温30度と5月にしては非常に暑かったことと、大宮、セレッソともに4-4-2、ブロックを作ってゾーンで守る守備のやり方も似ている、ということで、前半はお互いのマッチアップが噛み合うシーンも多く、後半に入るまでは、固い試合、という印象だった。

大宮フォーメーション
瀬川 江坂
大前 マテウス
茨田 金澤
和田 菊地 山越 渡部
塩田
セレッソ フォーメーション
杉本
柿谷 山村 清武
山口 ソウザ
丸橋 山下 ヨニッチ 松田
キムジンヒョン

また、守備面だけでなく攻撃面でも、両SHがポゼッションで重要な役割を担う、中に入って相手の2ラインの間でボールを受けたり、相手2トップの脇のスペースに下りてきてボールを落ち着かせたりする、という部分でセレッソと大宮は似通っており、この試合は良く似たチーム同士の戦いだったと言える。ただ、大宮の方はボールを持った時にミスが多く、やりたいことは似ていても、やれているレベル、というのはセレッソの方が高かった。

両チームの差は、選手の個々の力の差、ということもあったと思うが、そもそも大宮の2トップである江坂、瀬川の2人は、どちらかというと衛星的なプレーをさせた方が良さが出るタイプだと思うし、この日はサイドをやっていた大前もそうで、つまり大宮の方はセカンドストライカータイプの選手ばかりが前線にいて、何か、チームの構成として一本芯が通っていない、という印象を受けた。セレッソの方は、中央に杉本、山村といった、サイズがあって、ポスト役やボールの収まりどころになれる選手がいて、そこからどんどん攻撃のリズムが出来ていたので、そういう選手構成のバランスの差、というものも大きかったと思う。

試合は後半18分にセレッソがCKから清武のヘディングで先制したのだが、今シーズンの大宮はセットプレーに滅法弱く、ここまで6失点を喫しており、この試合でもやはり、そこからやられてしまった。
また、セレッソの2得点目もCKからで、これで今シーズンの大宮は、セットプレーから8点を失った、ということになる。この弱点についてもやはり、選手構成の問題が大きいのではないだろうか。この日の大宮のスタメン選手の内、180cmを超えている選手はGKの塩田とCBの菊地、山越の3人のみ。スタメン選手の平均身長は174.1cmで、全体的に小柄である。対するセレッソの平均は180.7cmなので、それを迎え撃つことを考えると、明らかに低い。
また、小柄な選手が多い場合、GKが飛び出してハイボールを処理する、という役割がより重要になるのだが、この日の塩田は1失点目のシーンでは飛び出したがボールをうまく処理できずにゴールを割られてしまい、また、その直前にも同じように、パンチングをミスして危なかったシーンがあったので、結局、彼を含めて、現在の大宮は高さに弱いチームになってしまっている。
渋谷監督もそこは当然自覚していて、前節まではマンツーマンで守っていたCKを、この試合ではゾーン+マンマークに変えており、それによってCKの守備の改善を図りたかったのだと思うが、そもそも身体特徴的に高さ対策に不向きな集団である以上、短期間でそこを根本的に変えることは難しい。

結局のところ、今の大宮に一番足りていないのは大型のセンターFWタイプの選手なのではないだろうか。攻撃時にはボールを収めることが出来、ポストプレーやロングボールの競り合いで、瀬川や江坂、大前にボールを落とせる選手。CKの守備時にはストーンの位置に入ったり、相手のターゲットをマンマークしたりしてハイボールを跳ね返せる選手。そういう選手をまず取ってこないと、これからも低空飛行は終わらないと思う。