来シーズンへの宿題事項。プレミアリーグ第38節 レスターシティ VS AFCボーンマス

日時 2017年5月21日(日)23:00※日本時間
試合会場 キングパワー・スタジアム
試合結果 1-1 引き分け

岡崎には何とか昨シーズンの公式戦ゴール数を超えてほしかったが、前節のトッテナム戦は前半だけで交替、今節は出番なし、ということでチャンスは僅かしか与えられず、残念ながら、昨シーズンの得点数を超えることは叶わなかった。

レスター フォーメーション
ヴァーディ
オルブライトン スリマニ マフレズ
ディディ キング
チルウェル フクス ベナルアン シンプソン
シュマイケル

今節は岡崎に代わってスリマニがスタメンに入り、そうなるとまず守備面で大丈夫なのか、という不安が当然あったのだが、前半1分にいきなり失点してしまった。前半のそれ以降の時間もレスターの守備は不安定で、やはり岡崎がいない時のレスターは、守備のクォリティが上がらない。
スリマニは相手に押し込まれた時に、自陣まで戻ってはいるのだが、岡崎のようにボールに対する守備参加はせず、位置も少し高い。その分カウンターに出て行くときにはゴールに近いところまで顔を出せるので悪いことばかりではないのだが、今のレスターの守備力だと、中盤が4枚だと厳しい。ボーンマスの方は先制点を奪ったことで、攻撃にあまり人数をかけず、4枚から5枚で攻撃する感じだったのだが、それに対してレスターの4-4のブロックが、なかなかボールを奪い返すことが出来ない。やはり、現状のレスターのボランチ、DFラインの守備力では、トップ下も守備参加して、ボールを中心として中盤が5枚になっていないと難しい、と感じた。

また攻撃面でも、上述したようにスリマニの位置取りは岡崎と較べて高いので、ヴァーディ、スリマニの2トップと中盤の距離が開いていることが多く、そうなるとSBがボールを運ぶ必要が出てくる。岡崎がいると、一旦中央の岡崎に当てて、それをSHのオルブライトンやマフレズに展開して、ということが出来るのだが、SBから直接SHに縦パスが出る、という形だと、SHの選手が後ろ向きでボールを受ける形になるので、相手のプレスを受けやすくなり、なかなかボールを前に運べない。
特に、この日のボーンマスは若手監督エディ・ハウの下、イングランド人が率いるチームとしては珍しく、しっかりとしたゾーンディフェンスをベースに戦っているチームなので、ボールに対して必ずアタックとカバーの関係が出来ており、マフレズ、オルブライトンがドリブルで相手を剥がす、ということも難しかった。そういう相手にはゾーンのあいだ、あいだでボールを受ける、岡崎のような選手が有効になるので、そういう意味でもこの試合では岡崎のプレーが見たかった。

ただ、後半にはレスターの攻撃は幾分改善されていて、チーム全体が前から守備をするようになり、そうなると前線と中盤の距離が近くなる、近くなるとスリマニにボールを当てられるようになり、そこからチャンスが生まれだした。そして、後半6分にはスリマニのヘディングでのアシストからヴァーディがゴール、その後にも、微妙なオフサイド判定で取り消されたが、スリマニとヴァーディのワンツーでゴールを破ったシーンもあり、後半は全体的にレスターのペースだったのだが、逆転までには至らず、引き分けでレスターの今シーズン、そして岡崎の今シーズンは締めくくられた。

今シーズンのレスターの一番の反省点を挙げるとすれば、それはスリマニというキャラクターを、最後まで有効に活かすことが出来なかった、活かすための土台を用意することが出来なかった、ということが挙げられるのではないだろうか。
岡崎本人がどう思っているかは別にして、岡崎を守備的な選手、スリマニを攻撃的な選手、と見做すのであれば、それぞれの選手を起用した時に、別々の戦い方ができるようになっていなければダメで、しかし今シーズンのレスターは、ボランチ、DFラインの質的、量的な問題もあって、最後までそうした引き出しを持つことが出来なかった。
この試合も、後半はDFラインを上げ、それによって攻撃は活性化されたが、そうなると今度は、今のDFラインのスピードで裏へのボールに対応できるのか、今の前線の選手のコースを切るような守備で、そういうボールを出させないようにすることが出来るのか、という懸念は当然あり、結局のところ、今のメンバーでこの日の後半の戦い方を常時行う、というのは難しいと思う。

日本人としての感情を抜きにすれば、やはり、岡崎がいないとチームが機能しない、というのは不健全であり、来シーズン、岡崎もスリマニも残る、ということであれば、この2人を使い分けながら戦うことが出来るような、戦術的、そして人員的な土台作りが必要になるのではないだろうか。

また、サッカーのチームでは「違いを作る側の選手」と「バランスを取る側の選手」がいるわけだが、ヴァーディ、マフレズという「違いを作る側の選手」がいるチームに、もう一人、その立場の選手を入れる必要があるのか、必要が無いのであれば、ヴァーディ、またはマフレズに替えてスリマニを入れる、という選択肢も持つべきだし、必要がある局面であれば、そういう局面であることをチーム全体で共有する必要があるわけで、今シーズン、チャンピオンズリーグの戦いや監督交替のゴタゴタで棚上げになっていたそれらの検討事項を、整理することも必要になってくると思う。