グループG短評。2018FIFAワールドカップ ベルギー VS パナマ、チュニジア VS イングランド

ベルギー VS パナマ

日時 2018年6月18日(月)24:00※日本時間
試合会場 フィシュトスタジアム
試合結果 3-0 ベルギー代表勝利
ベルギー代表フォーメーション
9
ルカク
10
Eアザール
14
メルテンス
11
カラスコ
6
ヴィツェル
7
デブライネ
15
ムニエ
5
ベルトンゲン
20
ボヤタ
2
アルデルワイレルト
1
クルトワ
パナマ代表フォーメーション
7
ペレス
21
ロドリゲス
8
バルセナス
20
ゴドイ
11
クーペル
6
ゴメス
15
ダビス
4
エスコバル
5
トーレス
2
ムリージョ
1
ペネド

前半は攻めあぐねていたベルギー。
パナマの方は、IH(インサイドハーフ)のゴドイとクーペルがベルギーのボランチ、デブライネとヴィツェルを見る、IHが相手ボランチに引っ張られて空いた中央のスペースは1トップのペレスが引いて埋めると言う、かなりの撤退守備。1トップまで自陣低い位置に下げてしまうと、カウンター時に相当長い距離を走らなければいけないが、パナマとベルギーの実力差を考えれば止むを得ない、ということだったのかなと。
それに対してベルギーは、前半は3バックがいずれも低い位置を保っていて、そうなると当然、パナマ陣内ではベルギーの方が数的不利になる。また、パナマボールになった時は、ルカク、エデン・アザール、メルテンスの3トップが相手の4バックに、デブライネとヴィツェルが相手のIHに付く形になるので、パナマのアンカーのゴメスが空いてしまい、そこからボールを展開されて、前からのプレスがハマらない、カウンターを受ける、と言う現象も起きていた。攻めあぐねていたのはそこが原因だったのかなと。ただ、3バックを上げない、というのはワールドカップ初戦ということで、より慎重に入った、後半に向けてマージンを残していた、と言うことなのだろうと思う。
後半に入ると、3バックの振る舞いが少し変わり、特に右CBのアルデルワイレルトが積極的に前に出てくるように。これは攻撃参加と言うだけでなく、パナマのカウンターになりそうな時に前に出て止める、と言う意味合いもあり、後半はアルデルワイレルトがパナマ陣内でカウンターを潰す、と言うシーンも何度か見られた。
それと、後半29分には左WBのカラスコを下げてデンベレを入れたのだが、デンベレはWBとボランチ、どちらとも取れるポジションを取っていて、守備時にはバイタルぐらいまで絞ったポジションを取るのだが、攻撃の時にはサイドまで開く、と言う感じで、特徴的な動きだった。後半45分にはヴィツェルを下げてシャドリを入れ、多分そこからは普通にデンベレが左ボランチ、シャドリが左WB、と言う形になったと思うのだが、その時間までのデンベレの動きがこの試合限定のものなのか、それとも何か仕込みがあるのか、引き続き見てみたいなと。
結局、後半に3点を奪ったベルギーが快勝。パナマ側から見ると、やはり個々のタレントで埋めがたい差があった、と言う感じだった。

チュニジア VS イングランド

日時 2018年6月18日(月)27:00※日本時間
試合会場 ヴォルゴグラードアリーナ
試合結果 1-2 イングランド代表勝利
チュニジア代表フォーメーション
7
ハズリ
23
スリティ
8
Fベンユセフ
9
バドリ
13
サシ
17
スキリ
12
マールル
4
メリアー
2
Sベンユセフ
11
ブロン
22
アセン
イングランド代表フォーメーション
9
ケイン
10
スターリング
7
リンガード
20
アリ
8
ヘンダーソン
18
ヤング
12
トリッピア
6
マグワイア
5
ストーンズ
2
ウォーカー
1
ピックフォード

イングランドの2得点は、いずれもCKから奪ったものだが、セットプレー以外の、流れの中での攻撃は機能していたとは言い難く、特に左CBのマグワイアと、左WBのヤングの位置関係が悪かった。
マグワイアはレスターでプレーしている時もそうなのだが、CBのポジションから積極的にボールを持ち上がることが多い。3バックの左CBがボールを持って上がると言うことは、4バックの左SBの持ち上がりのような形になるわけだが、その時に左WBのヤングが縦に抜けるでもなく、中に入るでもなく、ハーフウェーライン前後のタッチライン際、つまりWBのホームポジションのところから動かないので、マグワイアとプレーエリアがかぶってしまったり、さらには、マグワイアの方が前に出てしまって、ヤングの方はマグワイアの左斜め後ろにいる、と言う状態になっていた。その位置関係だと、ヤングはマグワイアから見て前の選択肢になれていないし、マグワイアが失った時にはボールより外側にいるのでカバーにも入れない。つまり死んだポジショニングになってしまっていた。
また、守備の時にもヤングとマグワイアの所の関係性は悪かった。イングランドは5-3-2の形なので、中盤の3のところの左右のスライドがボールの動きに間に合わない、ということが起きやすくなる。5-3-2で守るチームはそう言う時、大抵はWBが前に出てスペースを埋めるのだが、イングランドの場合はマグワイアはボールサイドにスライドしているのに、ヤングは前に出ずに低いポジションのままなので、両者のポジションがかぶってしまい、かつ中盤3枚の横のスペースは空いている、という状態になってしまっていた。
要は、攻撃の時も、守備の時も、ボールが自分のサイドにある時には、ヤングはもっとSH的なプレーをしなければいけないと思うのだが、そこが落とし込まれていないようだと、イングランドが3バック(5バック)を機能させることは難しいのかなと。
それと、イングランドの1失点は右CBのウォーカーがペナルティエリア内で腕を振ってFベンユセフの顔に当ててしまい、PKを取られた、と言うものだったが、イングランドの選手は全体的にプレーが荒い傾向がある。これはプレミアリーグのジャッジ基準がコンタクトプレーに寛容なことが一因だと思うのだが、今回のワールドカップではVAR(ビデオアシスタントレフェリー)が導入されているので、そういう荒いプレーがPKであったり、レッドカードにつながってしまう可能性は、より高まっている。最も、ウォーカーのプレーに対しては主審はVARの確認すらせず、確信を持ってPKのジャッジを下しているので、VAR以前の問題、とも言えるが。