完敗の初戦。リーガエスパニョーラ昇格プレーオフ カディス VS テネリフェ

日時 2017年6月16日(金)04:00※日本時間
試合会場 エスタディオ・ラモン・デ・カランサ
試合結果 1-0 カディス勝利

リーガエスパニョーラのセグンダ・ディビシオン(2部)は上位2チームが自動昇格、3~6位の4チームがホーム&アウェイのトーナメント方式でプレーオフを行い、勝ち残ったチームが3つ目の昇格チームとなる。
柴崎岳の所属するテネリフェは4位でプレーオフ出場。この試合はリーグ戦を5位で終えたカディスとのプレーオフ、アウェイでの1戦目である。

テネリフェ フォーメーション
アマト
アーロン アイトールサンス ティローネ
柴崎 ビトーロ
カミーユ ヘルマン ホルヘサエンス ラウルカマラ
ダニ

この試合、柴崎は左のボランチで先発。攻撃時にはビトーロが後ろ、柴崎が前、という縦関係になることが多く、テネリフェのマルティ監督としては、回収したボールを柴崎に預け、そこから彼のパス能力を活かして前線に展開、という形を狙っていたと思う。
しかし、この試合ではカディスの前線からのプレスが非常に激しく、テネリフェの方はボランチは勿論、DFラインのところでもほとんど時間を作らせてもらえず、プレスの圧力に負けて前線にロングボールを蹴ることが殆どだった。テネリフェの方としては、一番ボールを触らせたい柴崎を飛ばしたボールばかり、という展開になり、そこは狙いと違うということで、前半の途中からは、柴崎をトップ下に上げ、アイトール・サンスをボランチの位置へ。今度は中盤を飛ばしたボールを柴崎が拾って、というのが狙いだったと思うのだが、これもうまくいかず、後半14分にはティローネを下げてアントニー・ロサーノを投入し、2トップに変更。柴崎は右SHに変わった。前線の起点を増やしたい、という交代だったと思うが、流れは変わらず、後半19分、アヘル・アケチェのロングシュートでテネリフェが失点すると、柴崎は後半20分過ぎあたりから左SHへ。
しかし最後までテネリフェはカディスのハードな守備を剥がすことが出来ず、プレーオフの1戦目は1-0でカディス勝利となった。

このように、あちこちに移動させられた柴崎だったが、結局、満足にボールを触ることは出来ず。というより、この試合はテネリフェそのものが殆ど満足にボールをプレーさせてもらえず、それぐらいカディスのプレスが機能していた(多分この試合のテネリフェの公式スタッツ上でのシュートはゼロだと思う)。失点はアケチェの素晴らしいロングシュートだったが、それ以外にも際どいシーンが幾つかあり、前半にはカディスのCKからのヘディングシュートがゴールネットを揺らしたにもかかわらず、明らかな誤審(自ら倒れたテネリフェの選手が倒されたとジャッジ)でゴールが取り消された、というシーンもあった。正直、テネリフェから見ると、敗れたことを嘆くよりも最小得失点差だったことを喜ぶべき内容で、それぐらいこの試合は一方的だった。

柴崎についてだが、ボールタッチは多くなかったが、触った時には違いを作れていたと思う。柴崎にボールが入った時にリズムが出てくる、攻撃のスイッチが入る、というのは確実にあった。監督が何度も柴崎のポジションを入れ替えたところからも、柴崎にボールを触らせたい、という意図を感じたし、ボールプレーヤーとしての柴崎を評価しているのは間違いないと思う。
柴崎がスペイン2部に移籍するにあたって、心配していたのは、フィジカル負けしてしまうのではないか、というところであったり、ポジションを争う選手にテクニックで負けてしまうのではないか、というところだったのだが、今のところ、当たられてもしっかりと体幹はブレずに保持できているし、テクニックについても、スペインの2部の選手は足元に入った時のテクニックはあるが、柴崎のように、ピッチを俯瞰的に見てパスを配ったり、リズムを作ったり、ということを出来る選手は少ないので、そこもアドバンテージを保っていると思う。
この状態のまま、1部に昇格できるのが理想なのだが、完敗だったこの試合の結果を、2戦目、ホームの試合では覆せるのか、是非注目したい。