レスターのスイッチを入れ直した岡崎のゴール。プレミアリーグ第37節 マンチェスターシティ VS レスターシティ

日時 2017年5月13日(土)20:30※日本時間
試合会場 エティハド・スタジアム
試合結果 2-1 マンチェスターシティ勝利

敗れはしたが、岡崎のゴールは美しいものだった。左サイドのオルブライトンが右足で上げた、インスイング気味のクロスを左足でダイレクトボレー。カバジェロの守るゴールネットを揺らした。
いつもは岡崎の走り込みをデコイに使ってヴァーディに合わせる、という形が多いのだが、このゴールでは逆に、ヴァーディがニアサイドに抜けるデコイランで上手く岡崎をフリーにした。また、岡崎としても、味方が岡崎をしっかりと見てくれさえすれば、タイミングを合わせてくれさえすれば、決める力がある、ということを示せたゴールだったと思う。
ただ、この岡崎のゴールの時点でレスターは既に2失点を喫しており、残り1点のビハインドを跳ね返す必要があったのだが、残念ながらマフレズのPK失敗もあり、追いつくことは叶わなかった。

レスター フォーメーション
ヴァーディ
オルブライトン 岡崎 マフレズ
ディディ キング
チルウェル フクス ベナルアン シンプソン
シュマイケル

この日のレスターはレギュラーのCBであるモーガン、フートがそれぞれ怪我と累積警告により欠場。またボランチのレギュラーであるドリンクウォーターも累積で欠場となり、レギュラーメンバーから3枚落ち、という状況だった。モーガンの怪我は以前からなので、最近はベナルアンが代役を務めているのだが、この日はフートもいないため、本来左SBのフクスが左のCBに入り、普段フクスが務めている左SBにはチルウェルが入った。また、ドリンクウォーターの代役としては、レスター生え抜きのキングが入った。

今シーズンのレスターは選手構成がいびつで、前線はヴァーディ、岡崎のほかにもスリマニ、ウジョア、ムサと、他チームであればスタメンを張れるクラスの選手が揃っている一方で、ボランチとDFラインはレギュラーの選手を欠くと信頼できる控え選手が殆どいない。
特にCBは顕著で、ベナルアンは失点の直接の原因になるシーンが多く、この試合でもサネのドリブルに対してベナルアンの足が完全に揃ってしまい、躱されそうになったところをファウルで止めてPK、というのがレスターの2失点目だった。もう一人の控えであるヴァシレフスキに至っては、左SBが本職のフクスよりもCBとしての序列が低い、ということが全てを物語っている。

また、右SHのマフレズについては、間違いなく上手い選手なのだが、良くも悪くも何をするか分からない、という面があり、中でFWの選手の準備が出来ているにもかかわらず、単純に上げずにワンフェイク入れてタイミングを逸してしまったり、奪われてしまったり、というシーンがちょくちょくあって、かつ守備面の貢献も大きくないので、トータルで見た時に、本当にレスターにとってプラスになっているのか疑問が残る。
この日のPKシーンは典型的で、中でヴァーディとスリマニが構えているのにクロスを上げずに切り返し、それでファウルをもらってPKゲット、そしてそのPKを自ら蹴って失敗、というくだりは、マフレズという選手の扱いづらさを象徴するようなシーンだった。
彼には退団の噂もあり、最終節はマフレズを使わず、この日途中出場したグレイを最初から右SHで使ってみる、ということも試した方が良いのではないだろうか。

以上のような状況の中、レギュラーメンバーを欠く状態でシティのようなチームとの戦いに挑めば、やはり複数失点というのは免れず、結果としては妥当だったと思う。しかし逆に言えば、そうした事情の中でも最小得失点差の敗戦であった、しかもマフレズのPK失敗が無ければ同点だった、ということを考えれば、昨シーズン王者の片鱗は垣間見せた、ということが出来る。

レスターはスイッチが入っている時とそうでない時で別のチームのようになる傾向があり、前節で残留が決まり、モチベーションのないアウェーゲームだったことを考えると、「スイッチが入らない」ゲームになることも十分に予想できたが、そのスイッチを入れ直したのは間違いなく岡崎のゴールだった。

昨シーズンの岡崎の公式戦ゴール数は6。今シーズンもここまで6。あと残り2試合。何とか昨シーズンを超えてほしい。