どちらにも課題が。J1第11節 セレッソ大阪 VS サンフレッチェ広島

日時 2017年5月14日(日)15:00
試合会場 キンチョウスタジアム
試合結果 5-2 セレッソ勝利

結果的には3点差が付いた試合だったが、セレッソにも課題が残った試合だったかなと。
広島は基本フォーメーションは3-4-2-1なのだが、そのままの形になっていることは寧ろ少なく、守備時には両WBを最終ラインに落として5-4-1になり、攻撃時にはボランチの森崎和幸を最終ラインに落とした4-1-4-1になる。

広島(守備時)
工藤
柴崎 ロペス
森崎和 青山
ミキッチ
水本 千葉 塩谷
広島(攻撃時)
工藤
柴崎 ロペス ミキッチ
青山
水本 塩谷
森崎和 千葉

広島の攻撃のスイッチが入るのは殆どの場合青山からのパスで、セレッソとしては4-1-4-1の中盤の「1」のポジションに入る青山へのパスを、杉本健勇と山村和也の2トップの守備で切りたいのだが、前半はそこが不十分で、何度か青山がフリーでボールを持ち、そこから良い縦パスを入れられてしまう、というシーンがあった。

セレッソ フォーメーション
杉本
柿谷 山村 清武
ソウザ 山口
丸橋 松田
山下 ヨニッチ
ジンヒョン

試合は広島が先制したのだが、このシーンは完全に山口のミスだった。まず、相手のパスをカットしようとして飛び出したが、カットしきれず、こぼれたボールが広島の左WBの柏に渡ってしまったところが一つ目のミス。
次に、セレッソは柏に対して清武、松田が2人で対応したのだが(柏はドリブルが強い選手なのでこの対応は間違っていなかったと思う)、SBとSHが相手WBの対応に出ていくと、当然CBとの間にスペースが出来るので、そこをボランチが埋める必要があり、一旦山口はそのスペースを埋めたのだが、柏から青山へパスが出ると、埋めていたスペースから出て青山に当たりに行ってしまい、これが2つ目のミスだった。
結果的にそのスペースを使われて失点してしまったのだが、青山にはソウザも寄せていたので、青山への対応はソウザに任せ、山口は残るべきだったと思う。
山口は前半24分にも同じように、スペースを埋めるべきところを出て行ってしまってそこを使われてしまう、というシーンがあって、そのシーンではジンヒョンが良いセーブを見せて失点にはならなかったのだが、この部分は守備の反省点かなと。

ただ、失点シーン以外では、全体的にセレッソが優位に試合を進めていて、28分に山村がドリブルから相手を1枚剥がしてクロスを送り、これを杉本が決めて同点に追いつくと、直後の33分にはカウンターから柿谷のシュートがポストに跳ね返ったところを清武が押し込んで逆転、さらに前半43分にはヨニッチがCKからヘディングでゴールを決め、セレッソが2点差を付けて前半を折り返した。

後半に入ると、杉本と山村の2トップがより強く青山へのパスコースを警戒するようになり、広島は攻撃面で手詰まりの感が強かった。強い時の広島や、同じような戦術を採る浦和レッズだと、ボランチへのパスコースが警戒されだすと、ボランチを飛ばしてトップやシャドーの選手に縦パスを当てていき、その落としをボランチが拾う、という形に切り替えることが多いのだが、この日、広島のトップに入った工藤や、2シャドーの選手はそうした縦パスを引き出す動きに乏しく、なかなか攻撃のスイッチが入らない、入らないとどこかでセレッソにボールを奪われてカウンターになってしまう、という状態だった。

セレッソとしては、結果的に3点差を付けての勝利だったが、ミキッチのシュートが素晴らしかった2失点目はまだしも、1失点目は自らのミスによるものであったし、そもそも前半は準備して来たであろう青山への対策も徹底しきれておらず、反省点は残る内容だった。
広島の方は、ようやく怪我人が戻ってきて、敗戦の要因が欠員によるものなのか、戦術面によるものなのか、切り分けが出来る状態になったのかなと。青山を封じられた時にどこから打開するのか、外国人選手のクォリティをどのようにチーム戦術に落とし込むのか、これからの巻き返しが重要になってくると思う。