少ない武器だからこそ研ぎ澄まされる。ブンデスリーガ第33節 FCアウグスブルク VS ボルシア・ドルトムント

日時 2017年5月13(土)22:30※日本時間
試合会場 WWKアレーナ
試合結果 1-1 引き分け

ホッフェンハイムとUCLストレートインをかけて3位争いをしているドルトムントとしては、残留争い中の下位アウグスブルクにはきっちり勝利を収めたいところだったが、前半28分にロングボール一発で裏を取られて失点、直後に香川のアシストからオバメヤンがゴールを決めて追いついたが、後半には両チームともゴールは生まれず、ドルトムントとしては手痛い引き分けとなった。
この試合、香川は同ポジションであるカストロの累積警告による欠場もあり、先発フル出場、上述の通りアシストも記録した。アウグスブルク所属の宇佐美貴史はベンチ外で出場は無かった。

4-4-2で引いて守るアウグスブルクに対して、ドルトムントは3バックでスタート。アンカーにヴァイグルを置き、香川はその前のインサイドハーフの位置に、デンベレと並んで入った。

ロイス オバメヤン
ゲレイロ 香川 デンベレ ピシュチェク
ヴァイグル
シュメルツァー ソクラテス ギンター
ビュルキ

しかし、前半の23分にヴァイグルが右足を激しく捻ってしまい、途中交代(ストレッチャーに乗って出たので、かなり重症だと思われる)。替わりに入ったドゥルムを右のWBに入れ、右WBだったピシュチェクを右CBに、右CBだったギンターをヴァイグルの抜けたアンカーの位置に入れた。

ロイス オバメヤン
ゲレイロ 香川 デンベレ ドゥルム
ギンター
シュメルツァー ソクラテス ピシュチェク
ビュルキ

アウグスブルクはドルトムントのインサイドハーフである香川、デンベレにボランチの2枚をマンマーク気味に付け、WBのゲレイロ、ドゥルムに対しても両SHが積極的に寄せていて、彼らが人に食いつく分、中盤の中央にはスペースが出来ていたのだが、そのスペースでロイス、オバメヤンが起点を作ろうとしても、後ろにはまだ4枚のDFがいるので潰せる、という状態だった。
アウグスブルクが引いて守っている分、ドルトムントの方は左右のCBがフリーでボールを持てるのだが、シュメルツァー、ピシュチェクがボールを持って上がると、どうしてもCBの間が開いてしまい、カウンターを受けやすくなる。また、アウグスブルクもそうして出来たカウンターのチャンスを狙っていて、もっと言うと、ほぼそれしか狙っていなかったのだが、実際、それで何度かチャンスを作り、ビュルキが何とかセーブした、というシーンもあった。

1-1で折り返した後半からは、ドルトムントの方は横並びだった香川とデンベレの位置関係を少し変えて、デンベレをワイドの高い位置に張らせて前線を3トップのような形にし、その分、香川は少し引き気味になった。

ロイス オバメヤン
デンベレ
ゲレイロ 香川 ギンター ドゥルム
シュメルツァー ソクラテス ピシュチェク
ビュルキ

この変更の狙いは良く分からなかったのだが、少なくとも後半の最初はデンベレが右WBとユニットを組んでワイドの位置で起点を作っており、これは効果を生んでいた。前半のドルトムントは、3バック対4バックの構造上、WBが相手SHとSBに対してサイドで数的不利になっていて、これが攻めあぐねていた一因でもあったのだが、デンベレがワイドで起点になることで2対2の状況になり、また、数的同数だとデンベレは殆ど1対1に勝つので、後半の最初はそこからチャンスが作れていた。
ただ、時間が進むと、デンベレは更に前、ロイス、オバメヤンと殆ど同じ高さでプレーするようになり、また前半と同じような状況に戻ってしまった。

そうなると、今度は右CBのピシュチェクが前に上がって2対2の状況を作ろうとするのだが、当然デンベレほどの攻撃力は発揮できないし、また、上述のようにCBが上がるとカウンターを受けるリスクも出てくるので、あまりチャレンジも出来ず、結局この試合のドルトムントは、デンベレがサイドにいた時間帯以外は殆どサイドの攻防で優位に立つことは出来なかった。

香川はというと、後半は2ボランチ的にプレーする時間も多かったのだが、攻撃の面では良くても、やはり守備では不安、という印象で、そうなるとどうしても、2ボランチの選手としてはカストロ、シャヒンあたりが優先されてしまうと思う。
また、ドルトムント全体の印象で言うと、狙いが少し複雑で選手たちが消化しきれておらず、寧ろ、シンプルにカウンターだけを狙い続けたアウグスブルクの選手たちの方が、全体の意思統一が出来ていたように感じられた。