宮本恒靖監督の初陣。J1第18節 ガンバ大阪 VS 鹿島アントラーズ

日時 2018年7月28日(土)19:00
試合会場 パナソニックスタジアム吹田
試合結果 1-1 引き分け

成績不振によりレヴィー・クルピ監督を解任し、生え抜きである宮本恒靖監督に残留のミッションを託したガンバ。ホームでの鹿島アントラーズとの試合が、新監督の初陣となった。
試合結果は1-1の引き分けだったが、内容については、前監督と明らかに異なる部分が幾つか見られた。

ガンバ大阪フォーメーション
11
ウィジョ
10
倉田
9
アデミウソン
14
米倉
7
遠藤
28
6
初瀬
3
ファビオ
5
三浦
22
ジェソク
1
東口

この試合のガンバのフォーメーションはファンウィジョとアデミウソンを2トップに置く4-4-2。メンバー的には前監督と比較してそれほど入替は無かったが、ボランチのところにトップチームでは初出場となるU23の高宇洋を起用してきた。その代わり、これまでスタメンを務めてきたブラジル人ボランチ、マテウスはベンチ外。アデミウソンが怪我から復帰したことで、ガンバは外国人枠の関係上、アデミウソン、ファビオ、オジェソク、ファンウィジョ、マテウスの中から、誰か一人は外さなければならない。

鹿島アントラーズ フォーメーション
9
鈴木
30
安部
8
土居
13
中村
20
三竿
6
永木
32
安西
28
町田
39
犬飼
2
内田
1
スンテ

一方の鹿島は直前のセレッソ大阪戦からボランチのレオシルバ、右SB西、CB昌子をそれぞれ永木、内田、町田に入れ替え。ガンバが中5日の日程であるのに対して、鹿島はACLの関係上、ミッドウィークにセレッソ戦を消化しており中2日の日程だが、スタメンの入れ替えは3人に留まった。また、町田についてはセレッソ戦で昌子が負傷したことによる交代でもある。

試合は前半に鹿島が1点、後半にガンバが1点を奪っての引き分けだった。
前半40分の鹿島の得点は、ガンバ陣内、鹿島から見て左サイドから永木がFKを蹴り、ファーサイドに走りこんだ犬飼がボールを折り返して、中央に詰めた町田がゴール。町田が押し込んだというよりは、犬飼がボールを町田にぶつけてゴールに入れた、という感じだった。ガンバはゾーンで守っていたのだが、永木のボールがラインを割ると思ったのか、中央で足を止めた選手が何人かおり、そのせいで町田が空いてしまった。逆の言い方をすれば、ガンバの選手の頭上を越して、ファーサイドの犬飼の右足にピタリと合わせた永木のキックが素晴らしかった。

一方、ガンバの同点ゴールは後半24分。
米倉のクロスが直接ゴールに入ってしまった、というもので、ニアに寄り過ぎていた鹿島のGKクォン・スンテのポジションミスが原因だった。ただ、その直前の流れは、鹿島のカウンターになりそうなところをガンバが高い位置で奪い返し、遠藤がクロスでアデミウソンにラストパスを送ったが、これが合わずに鹿島ボールのスローインになり、しかしこれも高い位置で奪い返して米倉のクロスに繋がった、という流れだったので、ガンバとしてはそうした高い位置での守備が奏功して奪うことが出来たゴールだったと言える。逆に鹿島の方から見ると、2回続けて失ってはいけない位置で失ってしまった、というのが失点の遠因になったと言える。

さて、監督が変わったガンバについてだが、冒頭で述べたとおり、サッカーの考え方については180度変わっていた。
クルピ監督は良く言えば選手のアイデアに制限を掛けない、悪く言えば約束事をあまり作らない監督で、最低限やるべきことだけが決まっていて、後は自由、という監督だった。そう言う監督だったから、香川や乾、清武と言った選手が育った、と言えるのかもしれないが、少なくともガンバでは上手く行っていなかった。
一方この試合、宮本監督になったガンバは、ポジショニングがまずはっきりと決まっていて、そこからやるべきことが決まって行く、というサッカーで、ざっと見た感じ、下記のような約束事が決まっているように見受けられた。

  • 守備はゾーンディフェンス(これはクルピ監督の時から同じ)
  • プレスの開始地点は相手のSBのところ
  • 特に鹿島の左SB安西のところには強めにプレスを掛ける
  • 奪ったらFWに当てて、FWの落しをSBまたはSHが相手SBの裏のスペースで受ける
  • ポゼッション時には左からの組み立ての場合は遠藤が、右からの場合は高がCBの脇に下りる
  • その時SBは高い位置に上がり、SHが中に入る
  • 右サイドでの攻撃の時は左SHの倉田が右に流れてきて数的優位を作る

ただし、攻撃についてはFWが覗くプレーが少なかったり、ウィジョとアデミウソンの動きが揃ってしまったりと、SBから、もしくはボランチから、縦にボールを付けたい時にFWが適切なポジションにいない、というシーンが何度か見受けられた。
一方で守備については、クルピ監督の時から基本的な方針は変わっておらず、より約束事が明確になった、という感じだったので、スムーズに移行しつつ、新しい監督の色も出せている、という風に見受けられた。

またSBについては、出来れば左右いずれかに、ボランチ的なプレーであったり、ボールを配給する役割が出来る選手が欲しいなと。ポゼッションサッカーをやる場合、特にポジショナルプレー的なサッカーをやる場合は、どうしてもそう言う選手が必要になるし、今のガンバにはそういう選手が足りていないと感じる。それは宮本監督に変わったから、ということではなく、クルピ監督だった時点からそうだったし、クルピ監督もセレッソの時はそういう選手を重用していたので、単純に編成上の問題だと思う。

最後に、今後のガンバがどうなって行くかだが、現段階では何とも言えない。
方針が180度変わったのは間違いないが、方針が変わったから結果も変わる、とは言えない。
結局、この試合と前の試合の一番の違いは、戦術部分よりも、選手がハードワークした、という部分であり、ガンバはクルピ監督の元でも、長谷川監督の元でも、ハードワーク出来ていた試合ではこれぐらいやれていたので、戦術が変わったから良くなった、とは一概に言えない。
大事なのはハードワークを続けて行けるかどうか。それは編成を担当する側にも責任がある部分だと思う。

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