猛暑と過密日程が人選を難しくする。J1第14節 セレッソ大阪 VS 鹿島アントラーズ

日時 2018年7月25日(水)19:00
試合会場 ヤンマースタジアム長居
試合結果 0-2 鹿島アントラーズ勝利

ワールドカップによる過密日程のせいで記事を書いている間に次の試合が来てしまう。選手にとってもそうだが、ブロガーにとっても辛い日程である。この試合、セレッソと鹿島の対戦は、位置づけとしては既に過ぎた14節の試合だが、ACLによって日程が繰り延べされた関係で、この日の対戦となった。

セレッソ大阪フォーメーション
9
杉本
32
亜土夢
25
山内
7
水沼
43
オスマル
6
山口
14
丸橋
23
山下
4
藤本
16
片山
21
ジンヒョン

この試合のセレッソのフォーメーションは2トップに杉本と山内を置く4-4-2。直前の浦和戦からは中2日。メンバーもその日程を考慮して入れ替わっており、浦和戦から引き続きスタメンとなったのはGKジンヒョン、左SB丸橋、ボランチ山口、FW杉本の4名のみである。

鹿島アントラーズ フォーメーション
9
鈴木
30
安部
8
土居
13
中村
4
レオシルバ
20
三竿
32
安西
3
昌子
39
犬飼
22
西
1
スンテ

対する鹿島の方は土居、鈴木優磨を2トップに置く4-4-2。こちらは直前の柏戦から入れ替えた選手はボランチのレオシルバのみ(柏戦では永木が先発)。ただし、ワールドカップの前後で言うと、CBの植田がベルギーに移籍したため、CBのコンビが昌子、植田のコンビから、昌子、犬飼に変わっている。

この試合、前半のセレッソは、杉本が引いてきてSHや山内が裏を狙う形が多かった。ユン監督になってからのセレッソは、試合の序盤はDFラインの裏、特に相手SBの裏を長いボールで狙って起点を作って、というのが多くみられるパターンなので、これに関しては通常通りの入りをした、ということだったと思う。
一方、鹿島の方で目についたのは、セレッソのボランチに対する守備、特にゲームメイクを担当するオスマルに対する守備だった。オスマルは鹿島の2トップと2ボランチの間のスペースを前後左右に動きながらボールを受けようとするのだが、鹿島は基本はゾーンで守りながらも、オスマルのところだけはマンマーク気味に、2トップと2ボランチがマークを受け渡しながら守る、今誰がオスマルを見ているのか、はっきりさせながら守る、という感じだった。

この試合は4-4-2のチーム同士の対戦なので、基本的にはマッチアップが噛み合っている。よって、どこかでホームポジションを崩さないとなかなかチャンスが生まれにくい、という状況だった。セレッソの方は前半14分ぐらいから、SBを高い位置に上げ、SHが中に入る、という形をみせるように。そして鹿島の方も前半30分ぐらいから、ボランチの片方をCBの間に落として、3バック化してボールを回す、という形を見せるようになった。

ただ、鹿島の方は前半の終盤に差し掛かると序盤はしっかりと見れていたオスマルのマークが少しルーズになって来て、セレッソはオスマルからの配球が増えていく。そして前半38分、そのオスマルの左足のクロスを受けた水沼が鹿島の左SB安西の裏のスペースに抜け出してペナルティエリアに進入してシュート。鹿島の方はカバーに入った昌子が水沼のシュートをブロックしたが、つま先にボールが当たって足先の方向が変わった状態で着地してしまい、足首を痛めて負傷退場となってしまった。鹿島は交代で町田を投入。以降は町田が左のCBのポジションに入った。

前半42分ぐらいから、セレッソは鹿島と同様に、ボランチがCBの間に下りてCBをSBの位置に上げるように。この変化によって、CBが相手2トップの脇でフリーになる。そしてフリーになった山下からのパスに亜土夢がDFライン裏に抜け出してクロス、水沼が逆サイドから入ってきてシュートしたがGKクォン・スンテに阻まれた。亜土夢の飛び出しはオフサイドギリギリだったが、鹿島は交代で入った町田が少しラインを揃えられていなくて、そこを衝かれた格好だった。

結局、前半は0-0で終了。試合を見ていた印象としては、鹿島の方が攻守の切り替えが早く、優勢である、という印象だったのだが、前半のスタッツを見ると、アタッキングサードへの進入回数こそ鹿島の方が多いものの、それ以外はセレッソの方が数字が良く、シュート数はセレッソが5に対して鹿島は3、枠内シュートに限ればセレッソが4に対して鹿島は1、という結果だった。CKもセレッソが2に対して鹿島は0、走行距離、スプリント数もセレッソの方が数値がやや高かった。
ただ、セレッソの方はCBの藤本にミスが多く、ボールに対して目測を誤るシーンが何度かあり、そこが少し心配だな、という前半だった。

両チームともメンバー交代は無く後半へ。
後半10分ぐらいから、鹿島の方は安部が右、中村が左、という形でSHのポジションを入れ替えてきた。

そして後半12分、セレッソに最初の失点が生まれる。
セレッソのロングボールを回収した鹿島がボールをGKに戻し、GKから右CBの犬飼へ。犬飼には亜土夢がプレスに行ったのだが、犬飼から前線に縦パスが入った。恐らく、この縦パスは亜土夢に当たってコースが変わったのではないだろうか。山口が犬飼のパスをカットに行ったのだが、外向きのパスをカットしに行ったところ、実際のボールは内側、センターサークル方向に入ってカットできなかった。パスを受けた鈴木優磨もちょっと逆を取られたような受け方だったので、多分受けに行ったのとは違うボールが来たのだと思う。
セレッソの方は鈴木優磨に対して山下が当たり、藤本がカバーという2対1の状況だったので、藤本が適切にカバーできていれば対処できたと思うのだが、藤本が足を止めてしまって山下とのラインが揃ってしまい、鈴木優磨のスペースへの持ち出しで簡単に突破されてしまった。
最後はGKジンヒョンが飛び出したところを、腕の上を巻くようなシュートで抜かれてゴールネットを揺らされ、鹿島が先制点を奪取した。

試合後の鈴木優磨のコメントを見ると、シュートのシーンではジンヒョンの飛び出しを待っていたようで、きっかけには偶発的なところがあったにせよ、その後の対応に関しては、完全に鹿島のオフェンスがセレッソのディフェンスを上回った、というゴールだった。

試合後、鈴木優磨選手のコメント

あれしかなかった。ちょっとボールタッチを大きくして、(キム)ジンヒョン選手が出てくるのを待っていた。あれが逆に出てこなかったら、ファーに思い切り打つしかなかった。誘ったところでうまく出てきてくれたので、イメージどおりでした。

そして後半15分、セレッソは更に失点してしまう。
2失点目の発端は、1失点目の後、セレッソボールで試合が再開された直後に、ボールを奪われた丸橋が土居を引っ掛けて与えたFKからだったので、実質的に、1失点目の直後のプレーで2失点目を喫した形になった。
土居が得たFKをレオシルバが蹴り、このボールをGKジンヒョンがパンチングで弾いたところ、鹿島に拾われて、ボールはセレッソから見て右サイドにいた鹿島CBの町田へ。この町田には片山がマークに付いたのだが、深く行き過ぎて逆に町田のファーストトラップで入れ替わられてしまった。これは長身の選手に対してサイドで当たりに行った時のあるあるパターンで、セオリー通り内側からマークに行ったつもりでも、そこから外側の足で開いて受けられると、歩幅で置いて行かれてしまうことが良くある。逆の言い方をすると、長身の選手は内側で受けるように見せかけて相手を呼び込み、そこから開いてファーストトラップで入れ替わる、というプレーを良く狙う。
町田は最初のトラップで片山の背後にボールを落とし、自身の身体でボールを隠して片山が足を出せない位置にボールを置くと、ニアサイドに走り込んだ土居にラストパス。これを土居が押し込んで、鹿島が2点目を挙げた。

このシーンはセレッソ側の複数の選手にまずい対応があった。1人目は当然、町田に付いた片山の守備なのだが、2人目はGKジンヒョンの対応で、まず、レオシルバのFKの対応はかなり余裕があったので、パンチングではなくキャッチしてほしかったなと。キャッチしていればセレッソ側がカウンター出来ていたので、そこの違いは大きい。また、土居に対してニアを空けてしまったので、そこもまずかったと思う。3人目は丸橋で、まずFKを与えてしまったのも彼なのだが、最後の土居のシュートシーンでも、ファー側で鈴木を放してしまっていた。結果的にゴールはニア側で決まったので、丸橋の対応はクローズアップされなかったが、もしジンヒョンがちゃんとニア側を締めていた場合、町田が鈴木へのクロスを選択する、もしくは実際と同じく土居がシュートするが、ファー側に蹴ってジンヒョンが弾き、それが鈴木の元にこぼれる、という可能性も十分にあった。
丸橋にはもっと、ボールが逆サイドにある時は自分が最後の砦である、という自覚を強く持ってほしい。

失点後の後半17分、セレッソは田中亜土夢を下げて高木を投入。高木はそのまま左SHのポジションに入った。
更に後半22分には山内を下げて山村を投入。山村もそのまま、山内のいたトップ下のポジションへ。
この間、スコアは動かなかったが、少し気になるシーンがあって、前半20分、鹿島の左SB安西にカットインされてシュートを撃たれる、というシーンがあった。
安西に対応したのは片山だが、この時の水沼のカバーが悪くて、安西のドリブルを後ろから追っているだけになっていた。大阪ダービーのレビューでも触れたが、水沼は自分の裏にボールが出た時のカバーリングが悪い気がする。SBやCBがサイドの守備に出た時、ちゃんとカバーするポジションを取ってほしい。このシーン以外にも似たようなシーンがあったので。
安西にシュートを撃たれた後、ジンヒョンが怒っていたが、水沼に怒っていたのか、片山に怒っていたのか。後者だったら片山が少し気の毒な気がする。鹿島のサイドの選手は1対1が非常に強いので、彼らが縦にも中にも行ける、という状況で対応するのは、よほど高い守備力が無いと難しい。

2点ビハインドのままスコアが動かないため、セレッソは後半31分に藤本を下げてソウザを投入。藤本のいた右CBにオスマルが入り、オスマルのいた左ボランチにソウザが入った。

セレッソ大阪フォーメーション(後半31分以降)
9
杉本
13
高木
24
山村
7
水沼
11
ソウザ
6
山口
14
丸橋
16
片山
23
山下
43
オスマル
21
ジンヒョン

最初は水沼を下げようとしていたが、藤本が足を攣ったのを見て変えた、という采配だったので、藤本のトラブルが無ければ違う形にしていたのだと考えられる。恐らく、オスマルをCBに入れて3バックにして、前線を山村のトップ下、高木と杉本の2トップという3-4-1-2か、もしくは前線はその形だが、オスマルをアンカーに入れる4-3-1-2か、いずれかを考えていたのではないだろうか。
また、後半33分ぐらいに、ユン監督が指を3本立てて指示している姿が映っていたので、もしかすると、オスマルを3バックの真ん中に入れ、左から山下、オスマル、片山の3バック、という形だったのかもしれない。ただ、結局その場合は右CBの片山を高い位置に上げると4バックの両SBを上げた状態と同じになるので、あまり違いは無かったかなと。

結局これらの采配は実らず、結果は0-2で鹿島の勝利。
試合後のスタッツは、シュートがセレッソ12に対して鹿島が11、枠内シュートはセレッソ5に対して鹿島は2(つまり得点したシュートのみ)、CKはセレッソ5に対して鹿島は0という結果だったので、手も足も出なかった、というほど悪かった試合では無かったと思うのだが、攻守の切り替えの部分を含めたコンディション面では、鹿島の方が明らかに良く見えた。それでも伍して戦えたのは、オスマルの相手DFを外して配球するプレーが非常に効いていたのと、杉本が無理目のボールでもかなり収めてくれたこと、この2つが大きかったと思う。後半には水沼のシュートしたボールがポストに当たって跳ね返り、片山の元にこぼれたが、GKスンテに阻まれた、というシーンもあり、そう言う決定機を決めるか決めないか、逆に言うとそういうシーンでGKが止めるか止めないか、というのがそのまま結果に出たと言える。

この試合を見ていて、プレー内容が良くないな、という選手が何人かいた。
GKジンヒョン、CB藤本、左SB丸橋、右SB片山、そして右SHの水沼。
丸橋に関しては、元々絞ったプレーが良くないので、単純に悪いところが治っていないだけなのかもしれない。
片山に関しては、J2から獲得した選手であり、かつ元々はFWの選手なので、J1レベルの選手に対応する守備力が身についていない、ということなのかもしれない。
水沼とジンヒョンに関しては、元々そういう傾向がある、と言う以上にこの試合では悪かった気がする。
藤本に関しては、再三目測を誤ったり、守備の判断を誤ったり、そして最後は足を攣って下がった、というところを見ても、コンディション的にも悪かったし、メンタル面でも試合に入れていなかったのかなと。
ユンジョンファン監督は昨シーズンも今シーズンも積極的に選手のターンオーバーをしていて、それについては全く異論はないのだが、その人選にはもっと気を配ってほしいと思う。
暑いと体力的なスタミナだけでなく、頭の中のスタミナも切れやすくなる。そして頭の中のスタミナが切れると、集中も途切れがちになる。今は選手の走行距離や心拍数も機器でモニタリングすることが出来、どれだけ疲れているかが数値で明確に分かる時代だが、頭の中のスタミナがどうか、という部分に関しては、依然として監督の目利きで判断する部分が大きいと思うので、そこはユンジョンファン監督の力量が問われる部分になると思う。特に今シーズンは、単に日程的に過密である、と言うだけでなく、日本全体が記録的に暑い、ということもコンディションを左右する大きな要因であり、後者については試合に出ていない選手はそこから逃れられる、というものではないので、誰が暑さにやられているか、というのは練習から目を光らせておく必要があると思う。
また、特定の選手の悪い部分がずっと残っている、というのは指導の問題だと思うので、そこも改善してほしい。