日時 | 2018年6月24日(日)24:00※日本時間 |
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試合会場 | エカテリンブルクアリーナ |
試合結果 | 2-2 引き分け |
コロンビア相手に勝利を納め、勝ち点3を得てグループリーグ2戦目に臨むことになった日本代表。対戦相手のセネガルは、こちらも一戦目で第一シードのポーランドを破り、勝ち点3で日本と並んでいる。ワールドカップ開幕時点では、このグループHはポーランドとコロンビアの2強、それを追うのがセネガル、日本は一番下、というのが大方の予想だったが、それを覆す状況での対戦となった。
15 大迫 |
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14 乾 |
10 香川 |
8 原口 |
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17 長谷部 |
7 柴崎 |
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5 長友 |
3 昌子 |
22 吉田 |
19 酒井宏 |
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1 川島 |
この試合の日本代表のフォーメーションは、第一戦と変わらず、大迫勇也を1トップ、香川真司をトップ下に置く4-2-3-1。勝利したコロンビア戦の形をそのまま継続し、試合に入ってきた。
19 ニアン |
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10 マネ |
18 サール |
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5 ゲイエ |
17 Pエンディアイエ |
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13 Aエンディアイエ |
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12 サバリ |
3 クリバリ |
6 サネ |
22 ワゲ |
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16 Kエンディアイエ |
対するセネガルの方は、エムバイエ・ニアンを1トップ、サディオ・マネ、イスマイラ・サールを左右のウィングに置く4-1-2-3。
セネガルはアフリカにあってアフリカにあらず、という感じのチームで、出場選手の大半はフランスで生まれ育った選手たち。戦い方もヨーロッパ的で、個人能力の高い選手を揃えながらも、戦術的なベースはしっかりしている。1戦目ではこの4-1-2-3と、もう一つのフォーメーションである4-4-2を使い分けながら戦い、ポーランドに殆ど良い形を作らせずに勝利を納めている。
さて試合が始まると、日本もセネガルも、最初の攻撃の狙いはサイドだった。
セネガルの方は、圧倒的なスピードを誇る両ウィング、マネとサラーのところがストロングポイント。それに伴ってSBも高い位置を取る。それに対して日本は、セネガルのサイドの裏のスペースを長いボールで狙う、というのが攻撃のファーストチョイスだった。
セネガルは1トップのニアンところで日本の2CBにプレスを掛け、IH(インサイドハーフ)のゲイエとパパ・エンディアイエのところで日本の2ボランチにプレスを掛けて、ボールをサイドに誘導して追い込もうとする。日本はそのプレスに付き合わず、セネガルが追い込もうとするサイドと逆方向の前線、つまり対角線方向に長いボールを蹴って前線サイドで起点を作ろうとする。そして起点が出来た後は、上がってきたボールサイドのSB、ボールサイドのSH、そして1トップもしくはトップ下の3名でユニットを作り、セネガルのアンカーの脇のスペースから最終ラインを崩しにかかる。
左SHの乾はパラグアイ戦でもそうだったが、サイドに張るプレーと中(アンカーの脇)で受けるプレーの使い分け、動き直しが良く出来ていて、また乾が中に入るタイミングと合わせて長友が外を回り、ボールホルダーに対して選択肢を作って相手に的を絞らせない、という連動も良く出来ていた。また、右サイドについても、原口は乾ほどはシャドー的な動きが得意ではない、と言うことはあったにせよ、同じような連携は見られた。
試合は前半11分、セネガルの得点で動いた。
きっかけはセネガルから見て右サイドから左サイドへのクロス、つまり日本から見ると長友・乾のサイドから逆サイドの酒井宏樹・原口のサイドへのクロスだった。原口がヘッドでボールをクリアしようとしたが、ボールがあまり上がらず、原口の背後にいたセネガルの左SBサバリに拾われてしまい、サバリがシュート、GK川島がパンチングで弾いたが、弾いたボールが詰めて来ていたマネに当たってそのままゴールに入ってしまった、と言う失点だった。
この失点シーンでは原口のクロスへの対応が悪かった。原口はクロスが上がる直前にチラっと背後を確認していたので、自分の後ろにサバリがいることは分かっていたはずであり、また、クロスのスピードもそれほど速くは無かったので、ヘディングをしっかり当ててボールを遠くに逃がすこと、それが無理な場合は最悪、背後のサバリに渡らないようCKに逃げること、どちらかは出来たはずである。
その後の川島の対応については、確かにミスなのだが、かなり難しい対応ではあった。結果論で言えばボールを待ってキャッチすればよかったのだが、前からはマネが詰めて来ていたので、相手が足を出してコースを変えたら無抵抗でゴールを割られてしまう。なので、前に出て対応する、更に、手先でキャッチに行くとファンブルする恐れがあるのでパンチングにする、というのは選択としては間違っていなかったと思うのだが、サバリのシュートが少しドロップしたことでパンチングがボールの上を叩いてしまい、マネの前にこぼれてしまった、と言う感じだった。
それともう一つ気になったのは、クロスを上げられる直前の長友と乾の対応で、セネガルの右ウィング、サールに対して、画像のように縦に並ぶような対応をしていた。
失点シーンではここから中央のニアンに矢印のコースでパスが通り、ニアンが右SBのワゲに落としてワゲがクロス、と言う流れだったのだが、相手のウィングに対してSBとSHが縦並びで対応すると、中央にパスを通されたり、間をドリブルで抜けられる恐れがある。少し前にも同じようなシーンがあり、やはり縦に並んで対応していたので、あえてやっているのかもしれないが、そこはもっとセオリー通り、片方が前に出てもう片方がカバーする、横並びの関係になって、SBとSHの間は人もボールも通さない、と言う対応にしたほうが良い気がする。
1点リードしたセネガルは、前半22分ぐらいから中盤の構成が少し変わり、試合序盤はIHの位置にいたゲイエが少し下がってアルフレッド・エンディアイエとの2ボランチのようになり、逆側のIHのパパ・エンディアイエは少し前目、トップ下のようになって、4-2-3-1、守備時は4-4-2の形で構えるようになった。
セネガルは1試合目のポーランド戦では、この試合とは逆に、4-4-2で試合に入り、試合中、ポーランドが3バックに変化したタイミングで4-1-2-3に変化していて、つまり、4-4-2と4-1-2-3を試合状況に応じて使い分けながら戦うチームなのだが、ここでは、試合序盤に日本に使われていたアンカー脇のスペース対して、ボランチを2枚にすることで対策してきた。
日本としては、セネガルが2ボランチになり、それまで使えていたスペースが使えなくなったことで、セネガルのブロックの中にボールを差し込めない、差し込んでも受け手が潰されてしまう、と言うシーンが増えていく。香川が前線からボランチの位置、もしくは味方SBの上がったサイドのスペースに下りて、セネガルの中盤を動かしにかかるのだが、セネガルはそう言う動きに食いつき過ぎず、あくまでも中を締める、と言う対応だった。
しかし前半34分、日本が同点に追い付く。きっかけになったのはDFラインに下りた柴崎から、右サイドを上がった長友への、対角線のロングボールだった。セネガルのSBの裏のスペースでこのロングボールに追いついた長友がボールを中央方向へ大きくトラップ、セネガル右サイドのワゲとサールを置き去りにすると、乾が長友からスイッチするような形でボールを受けて、ファーサイドに巻くようなシュート。これが見事に決まった。
前述の通り、日本は香川が下がってボールを受けて、セネガルの中盤を動かしにかかっていたのだが、香川とCB、香川とボランチ、というショートパスが低い位置で続いたことが布石になった。香川がパス交換をしながら中盤中央に移動し、それに対してセネガルが中央に絞ろうとした瞬間の、裏へのロングボール。ショート、ショートからロング、というのもセオリー通りだし、相手が中を締めて来た場合は裏が空く、と言うのもセオリー通り。そして、序盤の説明で述べたとおり、日本としてはセネガルのSBの裏、というのは試合の最初から狙い続けていた場所でもあった。最後のシュートの素晴らしさも含め、会心のゴールだった。
試合は1-1のまま後半へ。
後半に入っても両チームのフォーメーションは変わらず、日本は4-2-3-1、セネガルも前半途中からの布陣である4-2-3-1だったが、日本の方は、守り方がマンツーマン気味になって、特に長谷部がセネガルのトップ下、パパ・エンディアイエにほぼマンマークで付くようになった。
後半20分、セネガルはアルフレッド・エンディアイエを下げてシェイク・クヤテを投入。ポジションは変わらず、クヤテはそのまま、右のボランチへ。
19 ニアン |
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10 マネ |
17 Pエンディアイエ |
18 サール |
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5 ゲイエ |
8 クヤテ |
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12 サバリ |
3 クリバリ |
6 サネ |
22 ワゲ |
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16 Kエンディアイエ |
そして後半26分、セネガルに勝ち越しゴールが生まれる。
左サイド、マネから日本のペナルティエリアに侵入した左SBサバリにパスが通り、サバリが柴崎に付かれながらも前を向いて、ゴール前のニアンにパス、このパスはマイナス気味だったためニアンはシュート出来なかったのだが、回転しながらヒールで逆サイドにボールを落とすと、このボールに右SBのワゲが走りこんで、シュートをゴールに突き刺した。
失点の仕方としては、1失点目と少し似ていたかなと。1失点目は左サイドの長友と乾の間を通されてペナルティエリア内にボールを入れられたことが発端、そして2失点目は、マネに対して酒井宏樹と原口で対応したのだが、その間を通されてペナルティエリア内のサバリにボールを入れられたことが発端だった。ただ、1失点目の長友・乾と比べると、酒井・原口はよりセオリー通り、横並びで、中央への斜めのパスコースを狭める対応をしていて、それによってマネからサバリへのパスは浮き球で通す必要があった。つまり受け手にとってはより難しいボールだった、ということなので、柴崎にはサバリに前を向かせない対応をして欲しかったなと。ちょっと足がもつれて距離が離れてしまい、その瞬間に前を向かれてしまった。サバリのターン、サバリのクロスを逆サイドに落としたニアンの判断、そしてワゲのシュートを褒めるべきなのかもしれないが。
失点後の後半27分、日本は香川を下げて本田を投入。本田はそのまま、香川のいたトップ下のポジションに入ったが、後半30分には原口が下がって岡崎が入り、岡崎と大迫の2トップ、本田は右SHとなった。
9 岡崎 |
15 大迫 |
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14 乾 |
4 本田 |
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17 長谷部 |
7 柴崎 |
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5 長友 |
3 昌子 |
22 吉田 |
19 酒井宏 |
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1 川島 |
そして、この交代采配が日本に勝ち点を運んできた。
後半33分、セネガルのGKエンディアイエの前線へのロングキックを昌子がカットすると、そのまま持ち上がってバイタルの岡崎にクサビのパスを付けた。岡崎が横にいた大迫にボールを落とし、大迫がサイドに運んでクロス。このクロスに岡崎が飛び込んだが、GKと交錯して潰され、ボールは逆サイドの乾へ。セネガルは岡崎と交錯したGKが倒れたまま。乾が潰れた岡崎の向こう側、逆サイドでボールを待っていた本田にグラウンダーの横パスを送り、本田がGKが空けてしまったゴールマウスにシュート。ボールはGKのカバーに入ったセネガルDFの脇を抜けてゴールネットを揺らした。
セネガルは後半から徐々に、守備のポジションを取るのが遅くなっていて、このシーンのGKのキックの時にも、セネガルから見て左サイド、日本から見て右サイドに選手が集まっている状態だった。その状態で、GKが人数の少ないサイドにボールを蹴ってしまったので、ボールをカットした昌子が完全にフリーになった。最後、岡崎と交錯して倒れてしまったことも含め、セネガルから見るとGKのミス、と言える失点だったと思う。
逆に日本の方から見ると、昌子がそのミスを見逃さず持ち上がり、2トップになった前線に素早くボールを付けた、というのが良かった。GKから見ると自分のキックしたボールがカットされて一直線にゴールに向かってくる、というのは一番焦るシーンで、それをリカバーするために、岡崎にはDFが競っていたにも関わらず飛び出して、更にミスを重ねることになってしまった。また、岡崎にはそう言う、相手を慌てさせてしまう気迫という物があり、レスターでも、その動きが囮になってヴァーディやマフレズがゴールを決める、というシーンが良くある。本田はそのことを良く分かっていて、一連のシーンでずっと、岡崎の近くにポジションを取っていた。
岡崎からすると、ゴールに貢献しているのにアシストもゴールもつかない、と言う損な役回りなのだが、間違いなく、岡崎がいなければ生まれなかったゴールだったし、ゴールの後、アシストをした乾が、倒れた岡崎を助け起こしてから一緒に本田のところに喜びに行った、というのがそれを良く表していた。
試合はこの後、セネガルの方はトップ下のパパ・エンディアイエを下げてエンドイエを、更に1トップのニアンを下げてディウフを投入し、日本の方は乾を下げて宇佐美を投入し、お互い勝ち越しを狙いに行ったが、ゴールは生まれず、2-2の引き分け。この試合の後に行われたポーランドとコロンビアの試合がコロンビアの勝利に終わったため、日本はグループリーグ最終節、ポーランドとの試合で引き分け以上であればグループリーグを突破できる、ということになった。
良く引き分けた、と言える試合だったと思う。攻撃については幾つかの形も見えているし、相手の出方を見てやり方を変える、ということも出来ているし、何より、個々の選手の調子が良いので、次のポーランドとの試合でも、少なくとも1点は取れるのではないだろうか。
心配なのはやはり守備で、特にこの試合の失点シーンのような、サイドからブロックの中にボールを入れられる状況は減らしたい。SHとSBがユニットを組んだ時に、しっかりと中央へのパスコース、ドリブルコースを消す。ブロックの中には人もボールも入れない。そういう対応が出来るかどうかが分かれ目になると思う。